「スコーク7700」は、航空業界で「緊急事態」を示す特別なコード。
「スコーク」とは、航空機が地上のレーダーと通信する際に使用する4桁の数字コードになります。
パイロットがこのコードを発信すると、管制塔は即座に対応を始め、周囲の航空機も警戒を強めます。
スコーク7700が示す「緊急事態」の内容は、燃料不足や機体の故障など多岐にわたります。
この記事では、スコーク7700の基礎知識から実際の事例、そして発信方法まで、詳しく解説していきます。
一般人がパソコンやスマホでスコークを確認する方法も解説します。
スコーク7700とは何か？基礎知識
繰り返しますが、スコーク7700は、航空機が航空管制塔に対して「非常事態」を宣言するための特別なコードで、航空管制官は発信した航空機を最優先で対応します。
ちなみに英語の「squawk(スコーク)」は、鳥などの大きく不快な鳴き声を指す言葉で、一般的には「がなる、鳴く、叫ぶ」といった意味で使われます。
航空業界における「squawk(スコーク)」は、トランスポンダー(航空機に搭載されている電子装置)から発信する特定の4桁の数字のコードを指します。
squawkには「やかましく不平を言う」という意味もありますが、こちらはかなりニュアンスが異なりますね。
スコーク7700の頻度と誤解
スコーク7700が発信される頻度は、「flightradar24(フライトレーダー24)」の通知設定をオンにしておくと、世界中で週に数回は発動されていることがわかります。
一般的には「緊急事態＝大事故」と誤解されがちですが、実際は比較的小さな故障でもこの信号は使用されます。
航空機の場合は小さな故障に見えても、大事故につながる恐れがあるため、油断は禁物なんですね。
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なぜスコーク7700が必要なのか？
- 安全確保: 非常事態が発生した場合、迅速な対応が求められます。
- 優先的な着陸: 他の航空機よりも優先的に着陸できます。
スコーク7700の使用例
- エンジントラブル: エンジンが故障した場合、このコードを使用します。
- 気象条件: 悪天候で飛行が危険な場合も、スコーク7700を使用します。
- 乗客の体調不良：生命に危険があるような場合は、スコーク7700を使用するとされています。
スコーク7700の読み方は？
スコーク7700の正確な読み方は「スクォーク・セブンセブン」です。
スコーク7700の操作手順
スコーク7700は航空機が緊急事態（ハイジャック以外）に遭遇した際に使用する特別なトランスポンダーコードですが、以下はその基本的な操作手順です。
手順1：トランスポンダーの設定
- トランスポンダー（航空機の位置や高度を送信する装置）にアクセスします。
- スコーク（トランスポンダーコード）を「7700」に設定します。
手順2：無線通信
- 地上にあるインテロゲーター（航空機からの信号を受け取る装置)のアンテナがスコークコードを受信します。
- 自動的に最寄りの管制塔に繋がり、管制官が情報を受け取ります。超緊急事態は緊急周波数の121.5 MHzを使用します。
- 緊急事態の詳細を報告します。
- 管制塔からの指示を待ちます。
手順3：指示に従う
- 航空交通管制（ATC）からの指示に従います。
- 必要に応じて、緊急着陸や他の手続きを行います。
要点
- スコーク7700を発信すると、管制塔のレーダースクリーン上に発信した航空機が明確に識別され、緊急事態と認識される。
- このコードは非常に重要なものなので、人命にかかわる真剣な緊急事態以外では使用しないことになっている。
実際の事例（JALとANA奇妙な偶然の一致）
スコーク7700が発信されたANAの事例
ANA（全日本空輸）で発生した事例を取り上げます。
JAL123便日航機機墜落から32年目の2017年8月12日に、ANA037便でスコーク7700が発信されました。
- 1985.8.12 18:00 羽田発・大阪伊丹行き JAL123便「スコーク7700」右旋回
- 2017.8.12 18:00 羽田発・大阪伊丹行き ANA037便「スコーク7700」左旋回
ANA037便は、無事羽田に引き返したそうですが、離陸や上昇中に大きな音がし、機内にはプラスティックが焦げるようなにおいが漂い、ついに酸素マスクまで降りてきたそうなので、乗客は生きた心地がしなかったでしょうね。
スコーク7700、全日空NH37便、JA703A、B777-281、羽田→伊丹。
寄りによってこの日に…、尚、無事に羽田空港へと引き返す見込み。 pic.twitter.com/6odO17hX8H— 列車番号T-TAKE(てぃーていく) (@ttakewebpage) August 12, 2017
油圧系統の不具合の可能性があったようですが、けが人の報告はなかったそうです。
「スコーク7700」と「メーデー」緊急時、どちらを使うべきか？
スコーク7700と同じ緊急事態に使う発信に「メーデー」があります。
「メーデー」とは？
メーデーは、航空機や船舶が緊急事態に遭遇した際に、無線通信で使用される国際的な緊急信号の言葉です。
この言葉を3回繰り返すことで、緊急事態であることが明示されます。
メーデーは1923年にロンドンの主任無線技師が考案した言葉で、「ヴネ・メデ（Venez m’aider）」は「助けに来て」という意味があります。
雑音に聞こえないような言葉が選ばれているそうです。
例：「メーデー、メーデー、メーデー、こちらはNONSUCH。位置は北緯54度25分、西経16度33分。火災が発生、乗船人数は4名。救助を求む」（Wikipediaより)
メーデーのプロトコル（手順や規約)では、位置情報、緊急事態の種類、乗員数、救助の必要性を明確に伝えます。
スコーク7700とメーデーの違い、どちらを使用するべきか？
スコーク7700は、レーダー圏内でしか使えませんが、メーデーはどこでも使えます。
ただし、メーデーは肉声で詳細を伝え続けなければいけないため、パイロットが操縦に専念できないデメリットがあります。
スコーク7700は、「緊急事態が発生したこと」のみ、まず管制塔に報告するためのものです。一方で、メーデーは、緊急事態の詳細を速やかに伝えることができます。
また、メーデーは他の航空機や船舶に対しても緊急事態であることを知らせる場合にも使用されます。
とくに船舶の場合は、他の船舶が救助を手伝ってくれるので有効です。
「メーデーリレー」とは、一つの船舶や航空機が緊急事態のメーデー呼び出しを受信した際に、その情報を他の船舶や地上の救助組織に転送する手続きです。
スコーク7700同様、メーデーを発信した航空機は最優先され、万一、進路を妨害する航空機があった場合は、機長や所属する会社に罰金が課されたり免許剥奪になる場合があり、実例もあります。
スコーク7500・7600・7700
3つの違いを表にしてみました。
| コード | 意味 | 説明 |
|---|---|---|
| 7500 | ハイジャック（航空機の乗っ取り） | 航空機がハイジャックされた場合に使用されます。 |
| 7600 | 通信障害・通信故障 | パイロットが地上の航空管制との通信ができなくなった場合にこのコードを使用します。 |
| 7700 | 一般的な緊急事態 | 航空機が何らかの緊急事態（機械的な問題、医療緊急事態など）に直面している場合に使用される汎用的な緊急コードです。 |
スコーク7500とは？
スコーク7500（Squawk 7500）は、航空機がハイジャックされた場合にパイロットが使用する特定のトランスポンダーコードです。
犯人に気づかれず信号を送ることができることが大きなメリットです。
スコーク7500は非常に重要なコードであり、これが発信されると、地上の航空管制施設は即座に緊急対応を開始します。
具体的には、警察や対テロ部隊が動員され、該当する航空機は最も近い空港に緊急着陸する手配がされます。
スコーク7600とは？
スコーク7600（Squawk 7600）は、航空機が無線通信障害（Radio Communication Failure）を経験した場合に、パイロットが使用する特定のトランスポンダーコードです。
スコークコードの不具合：原因と対処法
スコークコードの不具合がどのようなものであるか、その原因と対処法について詳しく解説します。
不具合の一般的な原因
- 機器の故障：トランスポンダー（スコークコードを発信する装置）が故障することがあります。
- ソフトウェアのバグ：トランスポンダーのソフトウェアに不具合が生じる場合があります。
- 人為的なミス：パイロットや管制官が誤ってコードを入力することもあります。
対処法と予防策
- 定期的なメンテナンス：トランスポンダーの定期的な点検とメンテナンスが必要です。
- ソフトウェアのアップデート：不具合が報告された場合、速やかにソフトウェアをアップデートすることが推奨されます。
- 研修と教育：パイロットや管制官に対する研修と教育を強化することで、人為的なミスを減らすことができます。
Q&A：よくある質問とその回答
Q1：スコーク7700はどれくらい頻繁に発信されるのか？
世界中で年に数百回程度、緊急事態が発生しています。
航空機の場合は、どんな小さな故障でも大事故につながる恐れがあります。
Q2：スコーク7700はどのように発信されるのか？
トランスポンダーを使用して発信されます。パイロットが緊急事態を確認した後、トランスポンダーに7700と入力し発信ボタンを押します。
Q3：スコーク7700が発信された場合、一般人はどう知ることができるのか？
フライトトラッキングのウェブサイトやアプリで、スコーク7700が発信された航空機の情報が公開されます。（flightradar24）
また、ニュースや新聞で報道することも多いです。
Q4：スコーク7700と他のスコークコードの違いは？
スコーク7700は緊急事態を示すコードです。他にもスコーク7500（ハイジャック）、スコーク7600（無線通信障害）など、特定の状況に応じたスコークコードがあります。
Q5：スコーク7700が発信された場合、どのような対応が取られるのか？
スコーク7700が発信された場合、たいていは最寄りの空港に緊急着陸が行われます。また、必要に応じて自衛隊の戦闘機がスクランブルを行い状況を確認します。
まとめ：スコーク7700の全貌とその重要性
スコーク7700は、航空業界で非常に重要な緊急信号です。
この記事で解説したように、スコーク7700は航空機が緊急事態にあることを示すコードであり、その背後には多くのテクニカルな側面があります。
具体的な事例を通じて、その影響と対処法も見てきました。最後に正しい発信方法と注意点についても触れました。
この情報が、スコーク7700についての理解を深める一助となりますように。
