「ジュラシック」という言葉は、映画「ジュラシックパーク」や「ジュラシックワールド」関連の話題の中でしか、あまり聞かないですよね?
でも、「ジュラ紀・白亜紀」という言葉なら、子どもの頃に耳にしたことがあるのではないでしょうか?
お察しの通り、「ジュラシック」とは、「ジュラ紀の」という意味です。
映画「ジュラシックパーク」や「ジュラシックワールド」を見たことがある人は、真っ先に恐竜との強い関連性が思い浮かぶかもしれません。
しかし、「ジュラシック」という言葉が具体的に何を指すのか、その背景や語源、さらには地質学や古生物学での意味や重要性については、意外と知られていないのが現状です。
この記事では、「ジュラシック」について詳しく解説しますね。
「ジュラシック」とはどんな意味?
ジュラシック(ジュラ紀)とは、地質時代の1つであり、約2億130万年前から約1億4550万年前までの約5500万年間を指します。※情報によって多少年代が異なりますが、この記事では基本的にWikipediaの記述を採用します。
ちなみに「地質時代」とは、有史時代(歴史時代:明治時代や室町時代)以前のことで地質学的な手法(地層等)でしか研究できない時代のことです。
ジュラシック時代の気候は温暖で、氷河があった痕跡はありません。
また、ジュラシック時代は恐竜だけではなく、地質学(地球の構造や成り立ちを研究する学問)や古生物学(絶滅した生物を研究する学問)でも非常に重要な時代とされています。
ジュラシック(Jurassic)の語源や由来は?
「ジュラシック(Jurassic)」という言葉の語源は、「Jura Mountains」からきています。
Jura Mountainsは、フランスとスイスにまたがる山脈で、この地域でジュラシック時代の地層(土や岩が積み重なった層)が多く発見されたため、この名前がつけられました。
ジュラという名は、『森』『原生林』または『山地の森』を意味する、ラテン語のユリア(juria)に由来すると言われています。(引用元:自然派ワイン情報)
この山脈は、地質学的にも非常に重要なスポットであり、ジュラシック時代の研究においても多くの情報をもたらしてくれます。
このように、地名が地質時代の名前として使われることは、地質学においてよく見られる現象です。
ちなみに漢字表記は「侏羅紀」ですが、日本ではほとんど使われることはありません。一方、中国では正式名称として使われています。
「ジュラシック時代」とはいつごろ?
「ジュラシック(ジュラ紀)」は三畳紀と白亜紀に挟まれた時代
ジュラシック時代は、約2億130万年前から約1億4550万年前までの期間です。
この時代は、中生代(約2億5千万年前から約6500万年前まで)の中で、三畳紀(Triassic/トゥライアシク)に続き、白亜紀(Cretaceous/クリティシャス)に先立つ時代とされています。
中生代(Mesozoic/メソンゾーイック)とは、地質年代約2億5217万年前から約6600万年前まで続き、①三畳紀、②ジュラ紀、③白亜紀の3つの時代に分かれます。
この定義は、特定の地層(地球の地殻を形成する岩石の層)に存在する化石(示準化石(しじゅんかせき))や鉱物、さらには放射性同位体の測定結果に基づいています。
地質学者たちは、これらのデータを元にして、地球の歴史を時間的に区分しています。
こうした古い時代の始まりと終わりは、特定の地層で見つかる特定の化石によって定義されています。
たとえば、アンモナイトは中生代の「示準化石(しじゅんかせき)」です。
ジュラ紀の恐竜については、次の項目で述べます。
参考:三畳紀(Triassic/トゥライアシク)とは?名前の意味は?
「三畳紀」は、約2億5190万年前に始まり約2億130万年前まで続いた地質時代で、中生代の最初の部分です。「トリアス紀」とも呼びます。
三畳紀という名は、南ドイツで発見された三畳紀の地層が、赤色の砂岩、白色の石灰岩、茶色の砂岩の3層になっていることに由来します。
この時代には、ペルム紀大絶滅(約2億5100万年前に地球上の生物の90〜95%が絶滅。有名な三葉虫も絶滅)からの生態系の回復が見られました。
たとえば「フレンゲリサウルス」は、三畳紀後期のアルゼンチンに生息した体調約6メートルの恐竜です。
「スタウリコサウルス(ブラジルで発見)」や「ヘレラサウルス(アルゼンチンで発見)」もほぼ同時期に生息していた恐竜だとされています。
また、この時代には現在の七大陸が一つの巨大な超大陸(パンゲア大陸)だったという説があります。
参考:白亜紀(Cretaceous/クリテイシャス)とは?名前の意味は?
白亜紀は、約1億4500万年前から6600万年前までの地質時代です。
白亜紀という名は、西ヨーロッパでこの時代の地層の多くの部分がチョーク(ラテン語のcreta)からできていることに由来します。
この時代は中生代の最後の部分であり、恐竜が絶滅したことで知られています。
白亜紀の終わりには、大きな隕石が地球に衝突し、それが原因で恐竜だけではなく、約70%の生物が絶滅したとされています。
この時代には、ティラノサウルスやトリケラトプスなど、多くの有名な恐竜が生息していました。
また、この時代には花(被子植物)が登場し、植物界にも大きな変化がありました。
恐竜とジュラシックの浅からぬ関係
ジュラシック時代に登場する恐竜の特徴とは?
ジュラシック時代は、多くの恐竜が生息していた時代としても知られています。
特に、アロサウルスやエウストレプトスポンディルスなどのタイプ種(その属や科を代表する種)がこの時代に生息していました。
この時代の地層からは多くの恐竜の化石が発見されており、それが現代のドラマや映画、特に「ジュラシックパーク」シリーズの題材にもなっています。
この時代を特徴づける恐竜たちは、進化の過程で多様な形態や生態系を築き上げました。
そのため、ジュラシック時代は恐竜研究においても非常に重要な時代とされています。
また、この時代の恐竜は羽毛を持つものもいたとされ、現代の鳥類との関連性も研究されています。
さらに、ジュラシック時代の恐竜たちは、大きな体や特異な形態を持つものが多く、それが人々の想像力をかき立てる要因ともなっています。
例えば、長い首を持つブラキオサウルスや、鋭い爪を持つヴェロキラプトルなど、多くの恐竜がこの時代に繁栄しました。
参考:恐竜たちは何を食べていた?
草食性 | 肉食性 | 雑食性 | |
---|---|---|---|
例 | トリケラトプス、ブラキオサウルスなど | ティラノサウルス、ヴェロキラプトルなど | オヴィラプトルなど |
食べ物 | 葉、果物、種子など | 小型の恐竜、哺乳類、魚、爬虫類など | 両方 |
特徴 | 大型が多い。頭が低い位置にあるものや首が非常に長いもの | 鋭い歯と爪を持つ | 状況に応じて食べ物を選ぶ |
地質学や古生物学における「ジュラシック・ジュラ系地層」の意味や重要性は?
地層に関しては、「ジュラ系」と呼ばれる特有の地層があり、この地層からは多くの化石が発見されています。
ジュラ系とは、ジュラシック時代に形成された地層のことを指します。この地層は、特に多くの恐竜の化石が発見される場所として知られています。
ジュラ系地層の特徴的な条件としては、以下のような点が挙げられます。
- 化石の豊富さ:ジュラ系地層は、恐竜だけでなく、多くの古代生物の化石が含まれています。そのため、この時代の生態系や生物多様性が詳しく研究されています。
- 岩石の種類:主に砂岩、頁岩(けつがん)、石灰岩などが見られます。これらの岩石は、当時の環境条件(例えば、海が広がっていたか、湖が多かったかなど)を反映しています。
- 鉱物の存在:ジュラ系地層には、特定の鉱物が含まれることが多いです。これらの鉱物は、地層が形成された当時の気候や地球内部の活動を示す手がかりとなります。
- 地理的分布:ジュラ系地層は、世界中の多くの場所で見つかっていますが、特にヨーロッパ中央部からイングランド南部でよく見られます。
これらの特徴により、ジュラ系地層は地質学、古生物学、環境科学など、多くの学問で重要な研究対象となっています。
特に、この地層から発見される化石は、ジュラシック時代の生物多様性や進化の過程を理解する上で非常に価値のあるデータとされています。
映画「ジュラシックパーク」と「ジュラシックワールド」のおおまかなあらすじは?
ジュラシックシリーズを、まったくご存じない方に「おおまかすぎるあらすじ」をご紹介します。
「ジュラシックパーク」のあらすじ
ジュラシックパークは、1993年に公開されたアメリカの映画です。監督はスティーブン・スピルバーグでした。
この映画は、恐竜たちをクローン技術で復活させ、飼育しているテーマパークを舞台に、様々なトラブルが発生するストーリーです。
特に、ティラノサウルスやヴェロキラプトルといったリアルな恐竜がスクリーンいっぱいに登場し、観客を驚かせました。
もちろん、ジュラシックパークは、実在する場所ではなく、架空のテーマパークです。
映画では、このテーマパークは中央アメリカのコスタリカに近い孤島「イスラ・ヌブラル島」に設置されています。
映画はアメリカ製であり、原作となる小説もアメリカの作家マイケル・クライトンによって書かれました。
映画「ジュラシックパーク」のあらすじについては、Cinemarcheで詳しく紹介されています。
「ジュラシックワールド」のあらすじ
ジュラシックワールドは、2015年に公開されたアメリカの映画で、ジュラシックパークの続編です。
この映画では、新たに開かれたテーマパーク「ジュラシックワールド」で、遺伝子操作によって新種の恐竜が作られます。
しかし、その恐竜が暴走し、人々が命を落とす危機に直面します。
映画「ジュラシックワールド」のあらすじについては、映画ひとっとびで詳しく紹介されています。
「ジュラシックパーク」と「ジュラシックワールド」に関係する場所
映画「ジュラシックパーク」と「ジュラシックワールド」の主な舞台は、中央アメリカに位置する架空の島、イスラ・ヌブラル島です。この島で、恐竜がクローン技術で復活し、テーマパークが開かれました。
現実世界でこの場所を訪れることはできませんが、大阪のユニバーサル・スタジオなどのテーマパークでは、ジュラシックパークやジュラシックワールドをテーマにしたアトラクション「ジュラシック・パーク・ザ・ライド(急流すべり)」が楽しめます。※2023年9月4日から2025年初頭まで大規模改修のため休止
「ディスカバリーレストラン」は映画ジュラシックパークのビジターセンターがモチーフのレストラン。
「ロストワールドレストラン」では南米料理が楽しめます。提供されるお料理はアンモナイトの形をしたパイや、恐竜の卵の形をしたマンゴープリンなどで、ジュラ紀の世界を堪能できます。
今後のジュラシック研究の展望と意味
ジュラシック時代に関する研究は、これからもさまざまな方向で進展が期待されます。
最先端の科学技術が進化することで、より詳細な化石の解析が可能になり、恐竜やその他の生物の生態について新たな知見が得られるでしょう。
また、これまでアクセスが困難だった地域で新たな化石が発見される可能性もあります。
これにより、ジュラシック時代の生態系全体についての理解が深まることが期待されます。
さらに、ジュラシック時代の研究は、現代の生態系や環境問題に対する理解にも寄与する可能性があります。
過去の地球環境と現在を比較することで、持続可能な未来を築くためのヒントが得られるかもしれません。
「ジュラシック(ジュラ紀)」Q&A
Q1: ジュラシックとは何年前の時代なのですか?
A1: ジュラシックは約2億1千万年前から約1億4千500万年前までの地質時代を指します。この時代は、特に恐竜が繁栄したことで知られています。
Q2: ジュラシックパークの映画は、ジュラシック時代の恐竜が出てくるのですか?
A2:はい、映画「ジュラシック・パーク」や「ジュラシック・ワールド」では、ジュラシック時代を含む中生代の恐竜たちが登場します。
でもなぜか白亜紀の恐竜が多数を占めているようです。
Q3: ジュラシック時代にはどのような生物が生息していたのですか?
A3: ジュラシック時代には、アロサウルスやステゴサウルスなど、多くの種類の恐竜が生息していました。
また、この時代には哺乳類や、イチョウやソテツなどの裸子植物も多種多様に存在しています。
Q4: ジュラシック時代に人間は存在していたのか?
A4:いいえ、ジュラシック時代には人間は存在していませんでした。人間(ホモ・サピエンス)の出現は、約30万~20万年前とされています。
ジュラシック時代は約2億130万年前から約1億4550万年前までなので、人間と恐竜が同時代に生きたことはありません。
- 猿人(アウストラロピテクス等)400万年くらい前から
- 原人(ジャワ原人、北京原人、明石原人等)約180〜50万年前
- 旧人(ネアンデルタール人等)約50万~30万年前
- 新人(クロマニヨン人等)約20万年前〜←人間
※ 参考文献によって微妙に異なります。
Q5: 日本なら、恐竜の化石はどこで見られる?
A5:例えば、福井県立恐竜博物館などでジュラシック時代から白亜紀の恐竜等の化石を見ることができます。
福井県立恐竜博物館は、カナダのロイヤル・ティレル古生物学博物館、中国の自貢恐竜博物館と並び、世界三大恐竜博物館と称されています。
また福井県立恐竜博物館等では、一般人でも参加できる化石発掘体験が開催されています。
「恐竜図鑑・全国の恐竜博物館の一覧」では、日本に存在するほぼすべての恐竜博物館を紹介しています。
ジュラシックの意味がわかれば、恐竜への興味がさらに広がる
この記事では「ジュラシック 」について幅広く解説しました。
映画「ジュラシックパーク」や「ジュラシックワールド」での描写から、地質学や古生物学における重要性まで、多角的に「ジュラシック」を探求しました。
ジュラシックとは単に恐竜が出てくる時代や映画のタイトルだけでなく、地球の歴史や科学においても非常に重要な意味を持つ言葉です。
最新の研究や情報をもとに、ジュラシックの真の意味を理解することで、その魅力をより深く感じることができるでしょう。