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シオン修道会は実在する?マグダラのマリアやテンプル騎士団、レオナルドダヴィンチとの関係は?

シオン修道会とは?

シオン修道会を取り巻く神秘的な物語は、多くの人々の想像力を刺激し続けています。

しかし、シオン修道会の実態は、1956年にフランスで設立された比較的新しい団体であり、謎めいた秘密結社のイメージは、ある男性の創作によるものだったのです。

シオン修道会とは何か?

設立の背景と目的

シオン修道会は、1956年にフランスでピエール・プランタール(1920~2000)と彼の仲間たちによって設立されました。

この団体は、「カトリック制度と戒律での独立伝統主義騎士団( Chevalerie d’Institutions et Règles Catholiques, d’Union Indépendante et Traditionaliste )」と名乗り、地域社会における文化的、慈善的な活動を促進する目的を掲げていました。

設立当初、シオン修道会はカトリックの価値観に基づき、伝統的なキリスト教の教えを広め、保護することを目指していたとされています。

しかし、この団体が一般に知られるようになったのは、後に創始者のプランタールが捏造した幻想的な歴史と秘密結社としてのイメージによるもので、実際の活動内容とは大きく異なっていました。

ピエール・プランタールと文書の捏造

ピエール・プランタールは、シオン修道会に関する一連のタイプ文書(アンリ・ロビノーの秘密ファイル)を捏造し、それに基づいて団体の歴史を創作しました。

「アンリ・ロビノーの秘密ファイル」は、1964年から1967年にかけて、匿名でパリのフランス国立図書館に寄贈されました。

これらの文書には、プランタールはフランク王ダゴベルト2世の末裔であることや、シオン修道会が中世から秘密結社としての活動していたこと、レオナルド・ダ・ヴィンチやアイザック・ニュートンなど、歴史上の著名人がシオン修道会のメンバー(総長)であったという内容が含まれていました。

1993年9月、ピエール・プランタールは、フランスの有名な投資家であり、かつてインサイダー取引の疑いで告訴されていたロジェ=パトリス・ペラが、シオン修道会の総長だったと裁判官に通告しました。

ペラは1989年に亡くなっていましたが、この事件は当時のフランス首相も関係する大事件でした。

これを受けて、裁判官はプランタールの家宅捜索を命じました。

その捜索で、プランタールが「フランスの真の王」と自称しているシオン修道会に関する多くの文書が見つかりました。

プランタールは捏造を通じて、シオン修道会を神秘的で影響力のある組織として描き出しましたが、これらが自らの創作であることを認めました。

ピエール・プランタールがシオン修道会に関する歴史や文書を捏造した理由

ピエール・プランタールがシオン修道会に関する歴史を捏造した理由については、彼自身から明確な説明がなされたことはありませんが、一般的に考えられるいくつかの動機があります。

捏造の背景には複数の要因が絡み合っている可能性がありますが、主な理由として以下の点が挙げられます。

  1. 個人的な名声や注目を集めるため:プランタールが作り上げたシオン修道会の物語は、彼個人に多大な注目を集めました。自らを謎多き組織の中心人物として位置づけることで、彼は自己の重要性を高め、特定の社会的、文化的コミュニティ内で名声を獲得しようとした可能性があります。
  2. 歴史的な物語や陰謀論に興味を持っていた:プランタールは、歴史的な謎や陰謀論に強い興味を持っていたのかもしれません。彼によって作り出された物語は、そのような興味に基づいていた可能性があり、自らが創作したストーリーによって歴史的議論に新たな次元を加えることを目指したのかもしれません。
  3. 特定の思想や理想を広めるため:プランタールが捏造を行った背景には、特定の思想や理想を推進する意図があった可能性も考えられます。彼は、捏造した文書や物語を通じて、人々の歴史観や宗教観に影響を与え、自らが信じる理念を広めようとしたのかもしれません。
  4. 社会的、文化的な影響を及ぼすため:プランタールの捏造が社会や文化に対して何らかの影響を及ぼすことを意図していた可能性もあります。このような大掛かりな物語を作り上げることで、公共の議論を引き起こし、特定のトピックについての認識や理解を変えることを目論んだのかもしれません。

プランタールが捏造に至った正確な動機は、彼自身の内面に深く関わるものであり、公表された情報や彼自身の証言に基づく解釈に依存します。

したがって、彼の行動の背後にある真の理由は完全には明らかになっていません。

シオン修道会とマグダラのマリアの関係

マグダラのマリアにまつわる伝説

マグダラのマリアは新約聖書に登場する女性であり、イエス・キリストの重要な信者の一人として知られています。

彼女は特にイエスの復活を最初に目撃した人物として、キリスト教の伝統の中で特別な位置を占めています。

マグダラのマリアに関しては、聖書以外にも多くの文献や伝承が存在し、彼女の生涯や役割については様々な解釈がなされてきました。

イエスの妻という説

イエスがマグダラのマリアと結婚していたという説は、主に近代に入ってから広まった考えで、特に一部の非正統的な文献やフィクションによって支持されています。この説の根拠とされるものには、次のような点があります:

  1. 結婚していた可能性:当時のユダヤ社会では成人男性は結婚するのが一般的であったため、イエスも結婚していた可能性があるという推測に基づいています。
  2. 聖書外の文献:いくつかのグノーシス主義文書(特に「マグダラのマリアの福音書」や「フィリポの福音書」など)では、マグダラのマリアがイエスと特別な関係にあったと示唆されています。これらの文書は正統派キリスト教の聖書には含まれていませんが、イエスとマグダラのマリアの間に深い絆があったことを物語っています。
  3. 現代のフィクションと仮説:ダン・ブラウンの小説『ダ・ヴィンチ・コード』をはじめとする一部の現代文学作品では、イエスとマグダラのマリアの関係を再解釈し、彼女をイエスの妻として描いています。これらの作品は、古代の象徴や芸術作品に隠されたメッセージを根拠にして、この説を展開しています。

学術的見解と教会の立場

学術的な観点からは、イエスがマグダラのマリアと結婚していたという証拠は確固たるものではありません。

この説は、主に聖書外の文献や現代の解釈に基づく仮説であり、伝統的なキリスト教の教えや歴史的記録には直接的な根拠がありません。

キリスト教の多くの教派では、マグダラのマリアはイエスの重要な徒であり信者だったとされていますが、イエスの妻であったという見解は認められていません。

マグダラのマリアの役割は、イエスの教えを広め、彼の復活を証言することにあったと考えられています。

シオン修道会との関連性の真相

シオン修道会とマグダラのマリアとの間には、実際には直接的な関連性はありません。

これらの関連性は、それを基にしたフィクション作品などで創出されたものです。

特に『ダ・ヴィンチ・コード』のような小説では、これらの要素が組み合わされ、興味深い物語が展開されていますが、これらは創作であり、歴史的な事実に基づいているわけではありません。

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具体的には、『ダ・ヴィンチ・コード』では、シオン修道会が、マグラダのマリアがイエスの妻であったことを隠していたと描かれています。

シオン修道会の実際の設立目的や活動内容は、プランタールの創作物語とは異なり、比較的地味で、神秘的な要素は含まれていません。

シオン修道会とテンプル騎士団

シオン修道会の捏造

テンプル騎士団の歴史と活動

テンプル騎士団は、1119年にエルサレムで設立されたキリスト教の軍事的・宗教的騎士団です。

当初の目的は、エルサレムを訪れる巡礼者の保護でしたが、後にはクリスチャン国家の防衛と聖地の回復を目指し、十字軍の主要な力となりました。

騎士団はその財政組織の効率性から、中世ヨーロッパにおける初期の銀行システムの一部としても機能しました。

しかし、1307年にフランス王フィリップ4世によって騎士団員らが逮捕され、1312年には教皇クレメント5世によって解散させられました。

テンプル騎士団は、その神秘的なイメージと謎に包まれた終焉のため、多くの伝説や陰謀論の源となっています。

シオン修道会との架空の結びつき

シオン修道会とテンプル騎士団の間には、歴史的な文書や証拠に基づく実際の関連性はありません。

シオン修道会がテンプル騎士団を結成し、マグダラのマリアの遺骨を手に入れたことで、絶対的な権力を得たことや、聖杯やイエス・キリストの血統を守ってきたというのは、フィクションの世界のストーリーです。

この物語は、特に『ダ・ヴィンチ・コード』などの小説に影響を与え、広く一般に受け入れられることになりましたが、これらの話は実際の歴史的事実には基づいていません。

シオン修道会の歴代総長とその真実

シオン修道会の歴代総長も捏造

捏造された歴代総長のリスト

ピエール・プランタールは、シオン修道会の存在をより神秘的で重要なものに見せかけるため、捏造された歴代総長リストを作成しました。

このリストには、レオナルド ダ ヴィンチ、アイザック ニュートン、ヴィクトル ユゴー、クロード ドビュッシー、ジャン コクトーなど、歴史上の著名な人物の名前が含まれていたとされます。

これらの名前の使用は、シオン修道会に歴史的な重要性と権威を与える意図があったと考えられます。

シオン修道会に関する誤解

多くの人々がシオン修道会に関して持つ誤解は、主にメディアやポピュラーカルチャーによって広められたフィクションの影響を受けています。

これらの誤解には、シオン修道会が古代からの秘密結社であり、聖杯の秘密やイエス・キリストの血統を守るといったものが含まれます。

しかし、これらの話は実際の歴史的証拠に基づいていないことが多く、プランタールの創作やその他のフィクション作品に由来するものです。

シオン修道会にまつわるQ&A

Q1: シオン修道会は本当に存在するのですか?

A1:シオン修道会は実際に存在しましたが、その起源や活動内容については多くの誤解があります。

シオン修道会は1956年にフランスでピエール・プランタールとその仲間によって設立された団体で、主に地域社会の文化的、慈善的活動に焦点を当てていました。

しかし、プランタールが捏造した物語により、団体は中世からの秘密結社であるという虚偽のイメージが広まりました。

Q2: シオン修道会とテンプル騎士団にはどのような関係がありますか?

A2:実際には、シオン修道会とテンプル騎士団の間に直接的な関係はありません。

この関連性は、ピエール・プランタールによって創造された物語に由来したフィクションで、歴史的な事実には基づいていません。

テンプル騎士団は12世紀に設立された実在の騎士団で、シオン修道会の物語は20世紀に入ってから作られたものです。

Q3: シオン修道会が守っていると言われる秘密とは何ですか?

A3:シオン修道会が守っていると言われる秘密は、主に映画や小説などのフィクション作品によって広められた神秘的な架空の物語に基づいています。

これらの物語では、シオン修道会が聖杯の秘密やイエス・キリストの血統を守っているとされていますが、これらは実際の歴史的証拠には基づいておらず、小説、映画に由来するフィクションの一部です。

シオン修道会の伝説はフィクションだが楽しい

シオン修道会にまつわる伝説と真実を探求する旅は、フィクションと歴史の区別を教えてくれます。

プランタールによる創作物としてのシオン修道会の物語は、私たちに歴史の解釈における楽しみと批判的思考の重要性を思い出させてくれます。