グレン グールドの死因は？食事や処方薬と早すぎる死の関係は？バッハをこよなく愛した彼のすごさを徹底解説

カナダが生んだ天才ピアニスト、グレン・グールド(1932年9月25日 ～1982年10月4日）。

父親はヴァイオリニスト、母親は声楽教師でピアニストの裕福な音楽家一家に生まれたサラブレッド。

3歳から母親にピアノを学び、7歳でトロントの王立音楽院に合格した天才でした。

人間的にも不思議な魅力があり、極度の変わり者ではありましたが、とてもキュートな男性でした。

しかし、彼の人生は50年という短さで幕を閉じました。

多くのファンを驚愕させた働き盛りでの突然死。グールドの死因は何だったのでしょうか？

この記事では、彼の生活習慣や健康状態、そして彼の音楽や周囲の人々との関係についても探ります。

グレンクールドの死因は脳卒中

彼の死因は病死(脳卒中)に間違いありません。

入院から最期までの経過

• 緊急入院：1982年9月27日、グールドはトロント総合病院に緊急搬送されました。この時点で彼の健康状態は非常に深刻でした。
• 容態の悪化：入院後、彼の状態は急速に悪化しました。脳卒中の影響で体の左側に麻痺が生じ、意識のレベルも低下していきました。
• 意識の消失と回復の繰り返し：入院後の数日間、グールドは意識を失っては、時折回復するという状態を繰り返していました。彼は自身の状況を理解できず、混乱し、時には取り乱していたとされています。
• 家族の決断：グールドの状態が絶望的であることを受け、彼の家族は医師の助言に従い、延命措置の停止を決断しました。この重要な決断は、高齢の父親によって下されました。
• 逝去：1982年10月4日、延命措置が停止された後、グールドは亡くなりました。死因は脳卒中による合併症でした。彼の死は音楽界に大きな衝撃を与えました。

埋葬

• マウント・プレザント墓地：グレン・グールドの遺体はトロントにあるマウント・プレザント墓地に埋葬されました。墓石には彼の十八番であった「ゴルトベルク変奏曲」の一節が刻まれています。彼のお墓は後に多くのファンが訪れる場所となり、彼の音楽への貢献を讃える重要な記念の場所となっています。

グレン・グールドの逝去は、彼の独創的な音楽性と個性的な生き方に触れられなくなったことを意味し、多くのファンにとって大きな損失でした。

それでも彼の音楽と生涯は、今日でも多くの人々に影響を与え、魅了し続けています。

グレングールドの早世の原因は、極端な偏食と処方薬の大量服用？死因との関係は？

グレン・グールドの早世と、極端な偏食、薬の大量服用の因果関係は、いくつかの指摘がなされています。

偏食と健康状態

• グールドは晩年、非常に偏った食事をしていたとされ、くず粉を使ったショートニング不使用のビスケットとフルーツジュース、さらにはサプリメントばかり摂取していたと言われています。
• 偏食は栄養不足を引き起こす可能性があり、健康への悪影響が考えられます。特に長期間にわたる偏食は、体のさまざまな機能に影響を与える可能性があります。

多量の薬の服用

• グールドは生涯にわたり多くの薬を服用していたと伝えられています。これには抗不安薬、抗高血圧薬、利尿剤なども含まれていたとされます。
• 長期間にわたる多量の薬の服用は、体に負担をかける可能性があり、副作用や相互作用によって健康に悪影響を及ぼすことがあります。

脳卒中との関係

• グールドは脳卒中が原因で50歳という若さで亡くなりました。脳卒中のリスク因子には高血圧、ストレス、不健康な食生活などがあります。
• グールドの特異な生活習慣や神経質な性格ゆえのストレスが、彼の脳卒中のリスクを高めた可能性は十分考えられます。

型破りな天才・グレングールド

1. 独自の演奏スタイル：
   • 高さ30センチほどの極端に低い折り畳み椅子に座り、猫背で演奏。椅子は父親の作ったものだった。
   • 演奏中にしばしばハミングや奇声を発する。
   • 演奏中はオーバーアクションで、カラヤンに「君はピアノより指揮台がお似合いだ！」言われる。
   • ペダルをほとんど使わず、対位法（複数の独立したメロディーラインが同時に進行し、相互に関連しながら全体としての調和を成す作曲技法）を重視する。
2. 変わった服装：
   • 真夏でも厚手のコート、マフラー、冬物の帽子、手袋を着用。
3. 特異な食生活：
   • 食事は1日に1食。夜中にレストランに現れ、毎回同じものを注文していた。
   • 特に40代以降は、幼児用の「アロールート・ビスケット」とフルーツジュース、サプリメントを主食とするようになった。
4. 健康に対する過剰な心配：
   • 多量の薬を服用していた。
   • 他人との物理的な接触を避けるために手袋を着用。
   • 極度の潔癖症。
   • 入院している母親のお見舞いも病院のばい菌を恐れるあまりできなかった。
   • 電話でも相手から風邪が移ると警戒していた。
5. 音楽への情熱と才能：
   • 幼少期から顕著な音楽の才能を発揮。
   • バッハの作品に特に深い愛情と独自の解釈を持っていた。
6. 公の演奏会への否定的な見解：
   • 32歳で突然、コンサート活動を中止し、録音に専念。
7. その他：
   • 夏目漱石の「草枕」がお気に入りで、異なる訳者のバージョンを4冊持っていた。
   • ピアノメーカー「スタインウェイ」の調律師が自分の肩に触ったことで痛みが生じ、半年間も公演をキャンセルすることになったとし、スタインウェイ社を訴えた。

これらの特徴は、グレン・グールドの非凡な才能と同じくらい、彼の個性的なキャラクターを強く示しています。

グレンクールドは発達障害（自閉症スペクトラム／アスペルガー症候群）だった？

グレン・グールドが発達障害やアスペルガー症候群であったかどうかについては、彼が亡くなった1982年当時は、現代のように発達障害やアスペルガー症候群に関する知識や診断基準が確立されていなかったため不明です。

そのため、彼が生前にそのような診断を受けたという記録はありません。

しかし、彼の生涯を振り返ると、彼の行動や特性がアスペルガー症候群に典型的な特徴と一致すると指摘する専門家や研究者はいるようです。

しかしながら、これらはあくまで後世の解釈に過ぎず、当時の医学的な診断や本人の自己認識とは異なる可能性があるため、断定的なことは言えません。

グールドの独特な生き方や音楽性は、彼の個性や才能の表れとも考えられます。

変わり者には間違いないが、皆から愛されていたグレングールド

親しい交友関係

• ユーディ・メニューイン：著名なバイオリニストで、グールドとは音楽的な交流がありました。共演の経験もあるなど、音楽家としての相互の尊敬と理解があったとされています。
• アルトゥール・ルービンシュタイン：ピアニストであり、グールドとの親交が知られています。ルービンシュタインはグールドの才能を高く評価していました。
• レナード・バーンスタイン：指揮者であり、グールドとは芸術的な意見の相違を超えた深い友情がありました。後述しますが、特に有名なのは、ブラームスのピアノ協奏曲での共演と、バーンスタインがグールドの演奏スタイルについての「異例の前置き」をしたエピソードです。彼はグールドを「天使だ」と形容していました。
• レイ・ロバーツ：グールドのアシスタントであり、彼の日常生活をサポートしていました。グールドの個人的な生活に最期まで深く関わっていた重要な人物です。

史上最も偉大なピアニストの1人だとされているウラディミール・ホロヴィッツは、彼とは30歳ほどの年齢差もあり、生前親交こそありませんでしたが、グールドの訃報に際して弔電を送ったそうです。

異なる演奏スタイルを持つ二人でしたが、同じピアニストとしての敬意や芸術家同士の絆を感じさせます。

その他の関係

• 家族：グールドは家族との関係を大切にしており、特に母親との関係が深かったとされています。彼の音楽的才能の初期の発展には家族の影響が大きかったと言われています。
• 従姉妹：グールドは従姉妹と親密な関係を築いていたとされています。グールドが音楽や人生に関する事柄を従姉妹と共有していた可能性があります。彼女は彼の信頼できる相談相手であったかもしれません。
• 友人：深夜まで長電話をする友人もいました。彼が電話の向こうで咳をすると、風邪がうつるのを心配して、慌てて電話を切っていました。
• 愛犬：飼い犬にベートーベンという名前をつけ大変可愛がっていました。愛犬に手紙まで書いていました。
• 動物：動物愛護に情熱を注ぎ、遺産の半分を動物愛護協会に寄付しています。
• 音楽業界の人々：音楽家、評論家、音楽プロデューサーなど、業界内でグールドは多くの人々と交流していました。彼のユニークな演奏スタイルと個性は、多くの専門家から注目を集めていました。

グールドのお母さん、フローレンス・グールドは、1975年7月に、グールドと同じ脳卒中のため83歳で亡くなっています。

いつもグールドを見守り、精神的な支柱になってくれたお母さんでしたが、彼が病院のばい菌を恐れるあまり、お見舞いができなかったそうです。

音楽家兼作曲家・ルーカス・フォスの妻コルネリアとの悲恋

グールドとコルネリアの関係

• グールドとコルネリア・ブレンデル・フォスとの間には親密な関係がありました。コルネリアは画家であり、夫のルーカス・フォスは著名な指揮者で作曲家でした。
• グールドはコルネリアに対して深い感情を抱いており、彼女への愛情が彼の生活や音楽に影響を与えたと考えられています。死後、彼女へのラブレターが見つかっています。

恋愛の経緯

• グールドとコルネリアは1962年、夫のルーカスを通じて知り合いました。
• グールドはコルネリアに対して結婚を申し込むほど真剣な愛情を抱いていたようです。

コルネリアは夫ルーカスと1952年に結婚しましたが、1968年から1972年まで別居していました。

この4年間、コルネリアはグールドの近くに住むために子供たちを連れてトロントに移住していました。

その後、1972年にニューヨークに戻り、2009年にルーカスが他界するまで添い遂げました。

息子のクリストファーと娘のイライザによると、ルーカスはコルネリアがグールドのもとへ行くときに、「楽しんで来い！君は必ず戻ってくるよ！」と送り出したそうです。

グールドと3人は同居していませんでしたが、彼なりに子供たちを可愛がり、ボードゲームやドライブを楽しんだそうです。

しかし、グールドの奇行も年々増えていきました。指の血行を良くするために熱湯に手を浸し、神経を落ち着かせるために大量の錠剤を飲んでいたそうです。

コルネリアも子供たちが、不用意にグールドの身体に触れないように注意を払っていました。

グールドは彼女を取り戻そうと、一度ニューヨークに来たそうですが、子供たちは実の父親の方を選んだそうです。

この10年後、グールドが脳卒中で亡くなった時は、子供たちは強いショックを受け、50歳を過ぎた現在もなお未解決な感情を残しているそうです。

コルネリアの夫、ルーカスの器の大きさに驚きますね。

こだわりゆえのトラブル

指揮者やオーケストラとのトラブル

• レナード・バーンスタインとの論争: 1962年、ニューヨーク・フィルハーモニックでのコンサートにて、ブラームスのピアノ協奏曲第1番の演奏でテンポについてバーンスタインと意見が衝突しました。バーンスタインはコンサート前に観客に向けて、「グールドの解釈には同意できないが、その演奏は尊重する」という異例の前置きをしました。
• ジョージ・セルとのトラブル: クリーヴランド管弦楽団との共演時、リハーサルで椅子の高さの調整に30分も時間をかけ、セルの怒りを買ったとされるエピソードがあります。ただし、グールド自身はこの話を否定しています。グールドの椅子は父親のお手製で、折り畳み式だったため、この話はフィクションだと思われます。

録音スタジオでのトラブル

• グールドは録音時に細かいこだわりを持ち、多くのテイクを要求することがしばしばありました。このため録音スタッフやプロデューサーとの間で意見の相違が発生することもありました。ちなみにグールドは自宅の録音スタジオのことを、「我が僧院」と呼んでいたそうです。

その他

• 演奏スタイル: 彼の特徴的な演奏スタイル（ハミングや身体の動きなど）は、一部の聴衆や批評家から批判されることがありました。

グールドは独創的な音楽家であり、その強い個性や信念が時にトラブルを引き起こす原因となったようです。

しかし、そのようなトラブルも含めて、彼の音楽に対する情熱と独自のアプローチが、後世に多大な影響を与えています。

グレングールドのすごさ

1. 独特な演奏スタイル： グールドは、他のピアニストとは一線を画す独特な演奏スタイルで知られています。彼の演奏は非常に速いテンポや独特のリズム、強烈な表現力で特徴づけられ、聞き手に強い印象を残しました。
2. バッハ演奏の革新： グールドは特にJ.S.バッハの作品に対する新しい解釈で有名です。彼の「ゴルトベルク変奏曲」の録音はクラシック音楽の歴史上でも特筆されるもので、バッハの音楽を現代に再解釈したと評されます。
3. 録音技術へのこだわり： グールドはコンサート活動よりもスタジオ録音に重きを置き、録音技術への深い理解と独自のアプローチを持っていました。彼は録音中に最良のテイクを追求し、編集にも積極的に関与していました。
4. 音楽に対する深い洞察： グールドは単なる演奏家に留まらず、音楽に対する深い洞察力を持っていました。彼の演奏は単に技術的な面だけでなく、音楽作品の深い理解に基づいていました。
5. 文化的影響力： グールドの影響はクラシック音楽界にとどまらず、広い文化的背景にも影響を与えました。彼のユニークなキャラクターと音楽的才能は、多くの人々にインスピレーションを与えています。

バッハへの愛

グレングルード略歴

1932年

• 9月25日：カナダ・トロントにて誕生。

1940年代

• 7歳でトロント王立音楽院に入学。
• 14歳でトロント王立音楽院を卒業、ピアニストとしてデビュー。

1955年

• 23歳でアメリカ・デビューを果たし、バッハの「ゴルトベルク変奏曲」を録音。

1956年

• 「ゴルトベルク変奏曲」が発売され、大きな反響を呼ぶ。

1957年

• 初の欧州演奏旅行を行い、大成功を収める。

1960年代

• ブラームス「間奏曲集」など数々の名盤をリリース。
• バーンスタインとの共演など、多くのコンサートで活躍。

1962年

• コルネリア・ブレンデル＝フォスと出会い、2年後交際に発展する。

1964年

• 32歳でコンサート活動を突然中止し、録音専門の活動に移行。

1970年代

• スタジオ録音やラジオ、テレビでの音楽活動を行う。
• 1972年、コルネリアとの破局。
• 1975年、母親逝去。

1981年

• 「ゴルトベルク変奏曲」を再録音。

1982年

• 9月27日：脳卒中でトロント総合病院に緊急入院。
• 10月4日：葬儀では家族や親しい友人に見送られる。享年50歳。

グレン・グールドの死因は脳卒中 彼の遺したものは？

グレン・グールドの死は、多くの音楽ファンにとって大きな損失でした。

彼の死因は脳卒中であり、彼の生活様式、特に極端な偏食や大量の薬の服用が影響していた可能性があります。

しかし、彼の音楽的才能とその独創性は、今もなお多くの人々に感動を与え続けています。

彼が残した音楽の遺産は、これからも世界中で愛され続けるでしょう。

天才ピアニスト、グレン・グールド。

彼の生きた証とその音楽は、永遠に私たちの心に響き続けます。