2017年頃から現在にいたるまで、大勢のメールアドレスに「セントラル銀行」を名乗る詐欺メールが届いています。
詐欺メールのタイトルは一見、大手銀行からの公式な通知にも見えるため、騙されてしまう人もいるようです。
セントラル銀行(中央銀行)という名前は金融機関として信頼性が高いイメージなので、受信者はつい警戒心を解いてしまいがちですが、このような名前の銀行はどこにも存在しません。
この記事では、セントラル銀行詐欺の具体的な手口と、それに対する効果的な対処法を詳しく解説します。
あなたの大切なお金と個人情報を守るために、ぜひ最後までお読みいただき、日頃からの注意を怠らないようにしましょう。
セントラル銀行詐欺や金融機関を名乗る詐欺の詳細と対処法
セントラル銀行詐欺の手口と特徴
「セントラル銀行詐欺」とは、「(自称スイスの最大手)セントラル銀行」という架空の金融機関から送られてくるメールから違法サイトに誘導し、そこで「(世界公認支援家を自称する)水戸洋司」なる人物が、35億の支援を申し出ます。35億円の支援を得るには、3,000円の費用が発生するという古典的な手口です。
セントラル銀行(中央銀行)は通常、国の金融政策を担当する重要な機関ですよね。
そのため、この名前を使うことで詐欺業者は受信者の警戒心を下げ、信頼を得ようとします。この詐欺の特徴は、以下のようなものです。
- スイスの大手銀行「セントラル銀行」や支援家の「水戸洋司」はこの世に実在しません。
- 迷惑メールのアドレスは意味のない英数字の羅列+@docomo.ne.jpや@i.softbank.jpが報告されています。
- メールのタイトルは『【口座開設完了のお知らせ】セントラル銀行より』ほか、微妙に異なるいくつかのバリエーションが存在します。
- 迷惑メールの本文には怪しいURLが記載されており、それをクリックすると詐欺サイトに誘導されます。
- URLは送り先ごとに個別の番号が割り当てられてられていて、開くと今後、迷惑メールが増える可能性があるようです。
- メールの本文は、URLのみの場合もあれば、「返事がなければ口座が凍結する恐れがある」と書かれている場合もあります。
- 詐欺サイトでは「水戸 洋司」なる自称・世界公認投資家が35億円の支援金をあなたにおくる(すでに振り込みは完了している)という内容の表示があります。
- 詐欺サイトでは、専用のフォームから水戸洋司とやり取りができるようになっています。
- 水戸洋司からは個人情報を聞き出そうとする定型文が多数送られてきます。
- 文面には「非課税の支援」や「日本生活支援機構」など、もっともらしい文言も含まれています。
- 彼の支援金を受け取るためには、セントラル銀行のゴールドキャッシュカードを作る手続きが必要で、その際に3,000円の費用がかかるということが書かれています。
- 支払いはプリペイドカードや詐欺決済サービス。
- しかし、その費用を支払っても、当然支援金はもらえず、さらに10,000円、15,000円、20,000円、30,000円と追加で費用を要求されたり、個人情報を盗まれたりする事例があります。
このような詐欺に引っかからないためには、以下のことに注意してくださいね。
- セントラル銀行や水戸洋司だけではなく、ロイヤルロイズ銀行や佐々木真造、小泉宗二郎、支援の額が微妙に異なるなど、さまざまなバリエーションがあるようです。全部実在しない銀行で、架空の人物です。
- メールに記載のURLやQRコードは無視してください。
- 詐欺サイトにアクセスしてしまった場合は、すぐに閉じてください。
- 個人情報や口座情報などを入力したり、送金したりしないでください。
- 大金をもらえるという話は信じないでください。
残念ながら、騙し取られたお金が戻ってきたという事例は見当たりませんが、消費者ホットラインか各都道府県のサイバー犯罪相談窓口に相談しましょう。
- 消費者ホットライン:電話番号 (3桁) 188
- 各都道府県のサイバー犯罪相談窓口
金融機関詐欺の主な特徴
- 公式を装ったデザイン:メールやサイトには公式ロゴや専門用語が用いられることが多いです。
- 緊急性の強調:「至急確認してください」や「期限が迫っています」といった表現で緊急性を強調します。
- 個人情報の要求:口座情報、パスワード、身分証明書のコピーなどを要求される場合があります。
金融機関詐欺のよくある手口
- 口座凍結の警告:「不正アクセスが確認されました。確認しないと口座が凍結されます」といった内容。口座番号や暗証番号をだまし取ろうとする。
- 資産の引き出し:「資産を安全に引き出すための手続きが必要です」と偽り、手数料を要求。
- セキュリティアップデート:「セキュリティを強化するための新しいアプリをダウンロードしてください」といった内容。
金融機関詐欺の対処法
- メールで送られてくるURLや添付ファイルは絶対に開かない:開いた事実が相手にわかる可能性があります。最悪ウイルスに感染することもあります。
- 個人情報は絶対に提供しない:不審なメールが誘導するサイトには、個人情報を提供しないようにしましょう。
- 公式サイトで確認:不審なメールが来た場合、公式サイトや公式の連絡先を探してみましょう。実在する金融機関を名乗っている場合もあります。
- 詐欺メールの報告:警察や専門の機関に詐欺メールを報告することも有効です。
- セキュリティソフトの活用:最新のセキュリティソフトで常にパソコンやスマートフォンを保護します。
三井住友銀行やりそな銀行、三菱UFJ銀行などの実在の銀行を名乗る詐欺もある
取引のない銀行なら無視できますが、取引している銀行を名乗るメールの場合は、うっかり反応してしまいそうになりますよね。
「取引制限」「不正アクセス通知」「本人確認」等ドキッとするタイトルでメールを送り、偽サイトに誘導して、ネットバンキングのIDやログインパスワード、口座番号や暗証番号等を盗み取ろうとします(フィッシング詐欺)。
送信元のアドレスも実在の銀行に成りすましている場合があります。メールで「〇〇のトラブルが発生した、このサイトで本人確認をしろ」とする内容のメールが送られてきた場合は、100%詐欺だと思って間違いないので、取引先の銀行のサイトをご確認ください。
「セントラル銀行詐欺」だけではない!おもな詐欺メールの種類とその特徴
詐欺メールは多種多様で、その手口も日々進化しています。以下に、おもな詐欺メールの種類とその特徴をまとめます。
フィッシングメール詐欺
- 特徴:実在する銀行など、信頼のある企業や機関を装い、個人情報を盗む目的で送られる。
- 例:「あなたのアカウントが不正アクセスされました。確認してください」といった内容。
ナイジェリアの手紙(419事件)
この名前は、最初にこの手口が多く報告された国(ナイジェリア)と、資金洗浄を規制するするナイジェリアの刑法第419条に由来しています。政情が不安定な発展途上国のセレブ、エリートを装います。
- 特徴:巨額の資産を引き出すための協力をお願いし、先に手数料を要求する。資金が自由になれば、数パーセントを謝礼として支払うと約束する。
- 例:「私は王子(政府の高官)です。資産を引き出すためにあなたの協力が必要です」といった内容。
生前贈与詐欺
- 特徴:生前贈与の受贈者を探している資産家等を装った詐欺事件。
- 例:「生前贈与を受け取るには、あなたは電子マネーで手数料を支払う必要がある」といった内容。
セキュリティ更新詐欺
- 特徴:「セキュリティが弱い(システム破損、ウイルス感染)」と偽り、ソフトをダウンロードさせる。プラウザが閉じられなかったり、警告音が鳴ったりする。電話番号が表示される場合がありますが無視してください。[Ctrl]+[Alt]+[Delete]等の方法で閉じる。Googlechromeを使うことである程度は防げる。
- 例:「セキュリティが危険です。至急このソフトウェアをダウンロードしてください」といった内容。
募金詐欺
- 特徴:災害や事件を利用し、募金を呼びかける。
- 例:「地震の被害者を助けてください。募金をお願いします」といった内容。
架空請求詐欺
身に覚えのないサイトの閲覧料金などが典型例ですね。「もしかすると、誤操作で開いたかも?」と勘違いさせます。
- 特徴:請求書に似せたものを送り、多額の利用料の支払いを促す。
- 例:「今月の請求書です。至急お支払いください」といった内容。
国際ロマンス詐欺
外国人の場合が多く、一度も会ったことのない相手がほとんどです。プロフィールの写真はモデル級の美男美女を使用しています。
- 特徴:SNSやマッチングアプリで知り合った異性の恋愛感情につけ込む詐欺。男性の場合は、宇宙飛行士やパイロット、実業家、医師などを装う。
- 例:「2人でお金を貯めるために投資をしよう!仮想通貨の取引所に入金して!」「母が病気なので、治療費を一時立て替えてほしい。母の病気が治らないと結婚が出来ない」といった内容。
これらは一例であり、詐欺メールの手口は日々進化しています。常に警戒心を持ち、不審なメールには絶対に個人情報を提供しないようにしましょう。
詐欺メール、詐欺サイトの特徴と一般的な対処法
詐欺メールは日常的に届くことがあり、その手口も日々進化しています。以下に、詐欺メールや詐欺サイトに対する一般的な対処法をまとめます。
詐欺メールと詐欺サイトの特徴を把握しておておく
- 急な要求:急にお金や個人情報の提供を求められる。
- 緊急性の強調:時間がない、すぐに対応しなければならないといった緊急性を訴えます。
- 不自然な文言:日本語に不慣れな外国人のように文章が不自然であったり、専門用語が誤用されている場合があります。
- サイトのデザインの質が低い:レイアウトが崩れている、画像がぼやけているなど。
- 不自然なドメイン名:一般的な企業やサービス名に似た、しかし少し違うスペルや文字列が含まれている。
- IPアドレス直打ち:ドメイン名ではなく、IPアドレスがURLに直接表示されている。
- サイトのHTTPSが未対応:URLの先頭が「http」で「https」でない。※ 以前はすべて「http」でした。httpのままだからといって、一概に怪しいサイトとはいえません。
- 証明書エラー:ブラウザがセキュリティ証明書に関するエラーを表示する。
- 多数のポップアップ広告:訪れた瞬間に多数のポップアップ広告が開く。
- 不自然なリダイレクト:別の怪しいサイトに自動的に移動させられる。
あらかじめ対処法を考えておく
- 確認作業:メールの送信元や内容をしっかり確認します。疑わしい場合は、関連する機関や企業に直接問い合わせます。
- 個人情報は提供しない:メールや誘導されたサイトでの個人情報の提供は絶対に避けましょう。
- 迷惑メールとして報告:詐欺メールと確認できた場合は、迷惑メールとして報告し、削除します。(迷惑メール相談センター・情報提供のお願い)
詐欺メールに対する最良の対処法は、常に警戒心を持つことです。疑わしいメールが届いたら、上記の対処法を参考にしてください。安全なオンラインライフを送るために、注意が必要です。
セントラル銀行などに、お金を振り込んだり、個人情報を教えてしまった場合の対処法
個人情報を詐欺業者に教えてしまったり、お金を振り込んでしまったりした場合は、速やかに以下のような対処を行うことが重要です。
速やかな報告と相談
- 警察への報告
- 最寄りの警察署に詐欺の被害を報告しましょう。
- 消費者センターへの相談
- 地域の消費者センターに相談することで、具体的な対処法を教えてもらえます。
金融機関への連絡
- 口座の凍結
- クレジットカード番号や口座番号と暗証番号、ログインIDとパスワードを送信してしまった場合は、銀行やクレジットカード会社に連絡して、口座を一時的に凍結させましょう。
- 新しい口座の開設
- 必要であれば、新しい口座を開設し、お金を移動させます。
セキュリティ対策の強化
- パスワードの変更
- 関連する全てのオンラインサービスのパスワードを変更します。
- 二段階認証の設定
- 可能であれば、二段階認証を設定してセキュリティを強化します。
個人情報の監視
- クレジットカードの利用履歴の確認
- クレジットカードの利用履歴を定期的に確認し、不正な取引がないか監視します。
- 不正利用の兆候に注意
- 電話やメールでの不審な連絡、契約や請求に関する急な変更などに注意を払います。
周囲への情報共有
- 家族や友人に注意喚起
- 身近な人(とくに高齢者や若者)にも詐欺の手口と対処法を共有し、防止につなげます。
以上の対処法を速やかに行うことで、被害を最小限に抑える可能性が高まります。何かおかしいと感じたら、すぐに専門の機関に相談することが重要です。
コンピュータウイルス感染時の発生する問題
不審なメールの添付ファイルを開いてしまった場合や不審サイトを閲覧してしまった場合には、コンピュータウイルスに感染している可能性もあり、多くの問題が発生する恐れがあります。以下に主な被害を挙げます。
データの損失や改ざん
- ファイルの削除:重要なファイルが削除される可能性があります。
- データの改ざん:文書や画像などのデータが勝手に改ざんされることがあります。
システムの不安定化
- プログラムのクラッシュ:ソフトウェアが突然終了したり、動作が不安定になることがあります。
- OSの不具合:オペレーションシステム(OS)が起動しなくなる、または不安定になる可能性があります。
個人情報の漏洩
- キーロガー:キーボードの入力記録を盗むウイルスにより、パスワードやクレジットカード情報が漏洩する可能性があります。
- スパイウェア:個人情報を収集して第三者に送信するウイルスも存在します。
- スクリーンショットの取得:ユーザーが何をしているのかを盗み見るために、画面のスクリーンショットを取ります。
- インターネット活動の監視:閲覧したウェブサイトやダウンロードしたファイル、送受信したメールなどを監視します。
- 位置情報の収集:GPS機能を使って、ユーザーの現在位置を特定します。(スマホ)
金銭的損失
- ランサムウェア:自動でファイルを暗号化し使用できない状態にし、解除するための「身代金」を要求するウイルスがあります。
- フィッシング詐欺:偽のウェブサイトに誘導し、個人情報を盗む手口もあります。
ネットワークの乗っ取り
- DDoS攻撃:感染したコンピュータが自動で無関係な第三者のサイトに大量のアクセスやデータを送り、サービスを停止させる場合があります。
- ボットネット:感染したコンピュータが遠隔操作され、無自覚のうちに悪意のある活動に利用されることがあります。
信用失墜と評判の悪化
- 偽メールの送信:感染したコンピュータから偽のメールが送信され、信用や評判が失墜する可能性があります。
以上がコンピュータウイルスに感染した場合に発生する主な問題です。ウイルス感染は非常に深刻な影響を及ぼす可能性がありますので、日頃から予防策をしっかりと講じることが重要です。
コンピュータウイルスに感染した場合、パソコンが物理的に故障する可能性は低いですが、ソフトウェア面での問題や不具合は多く発生します。
ただし、一部にBIOS(基本入出力システム)に影響を与えるウイルスも存在します。この場合、パソコンが起動しなくなる可能性があります。
感染した場合は、速やかにウイルス対策ソフトでスキャンを行い、問題を解決することが重要です。
スマホもウイルスに感染する
(Google PlayやApple App Storeなど)公式のアプリストア以外からインストールした偽のアプリから感染する可能性があります。
スマートフォンのアカウントを使って不正にアプリ内課金が行われたり、写真や知人の個人情報が流出したり、マルウェア(悪意のあるソフトウェア)がバックグラウンドで動作することで、バッテリーが急速に消耗したりします。
まめに最新版のOSやアプリに更新したり、信頼のおけるセキュリティソフトを入れることでウイルスを防ぎましょう。
ドライブバイダウンロードを避けるために、怪しいサイトへの訪問を避ける
ウェブサイトを訪れるだけで、感染コードが自動的にダウンロードされる手法(ドライブバイダウンロード)もあります。
セキュリティ対策が不十分な状態で不審なウェブサイトを訪れると、感染の可能性が高まります。
参考:詐欺サイトが得た個人情報の販売先
- ダークウェブ:インターネット上の隠れた場所で、個人情報がオークション形式や固定価格で販売されることがあります。
- 犯罪組織:特定の犯罪組織が、詐欺や不正アクセスなどの目的で個人情報を購入する場合があります。
セントラル銀行詐欺をはじめとする各種ネット詐欺に対する備えは万全に!
この記事では、セントラル銀行をはじめとするネット詐欺の手口とその対処法について詳しく解説しました。
詐欺メールは日々進化しており、一度騙されてしまうと取り返しのつかない損失を被る可能性があります。
特に、セントラル銀行(中央銀行)という名前には高い信頼性があるため、つい油断してしまいがちです。
しかし、そうした名前が詐欺に悪用されることも多く、常に警戒心を持つ必要があります。メールの送信元や内容をしっかり確認し、何かおかしいと感じたらすぐに報告する行動が求められます。
この記事が、あなたとあなたの大切なお金、個人情報を守る助けとなれば幸いです。安全なオンラインライフを送るために、日頃からの注意が何よりも大切です。