「大衆演劇」といえば、日本の伝統芸能の一つであり、多くの人たちが楽しんでますよね。
大衆演劇には「おひねり」という独自の文化があり、これは役者と観客が一体となって楽しむ習慣です。
しかし初心者の中には、「おひねりって何?」と疑問に思う方、または「どうやっておひねりを渡すのが正しいのか?」と不安に感じる方も多いでしょう。
この記事では、そんなおひねりの基本からスマートな渡し方、そして気になる税金まで、幅広くカバーしています。
今回はディナーショーや歌舞伎ではなく、あくまでも大衆演劇のおひねりについてのお話です!
ちなみに地歌舞伎(素人歌舞伎)以外の歌舞伎には、おひねりの習慣はありません。
ぜひ最後までお読みいただき、大衆演劇とおひねりの魅力を存分に感じてください。
おひねりとは?大衆演劇とおひねりの関係
「おひねり」とは、演劇や舞踊、音楽などの演者さんへの応援や賞賛を表すために、観客が「入場料とは別に」直接お金を渡す日本の伝統的な習慣です。
おひねりは、演者と観客が直接コミュニケーションを取る最良の手段であるとともに、演者のパフォーマンスへの評価を「具体的に示す方法」として広く行われています。
このようなおひねりの文化は、演者にとってはモチベーションのアップになるだけではなく、重要な収入源の一つにもなっています。
観客にとっても、おひねりを通じてご贔屓の演者との一体感を感じることができ、よりディープな楽しみ方ができます。
特に日本の大衆演劇や素人歌舞伎などでは、この文化がよく見られます。
おひねりの意味と起源
- 意味:演者への感謝や賞賛、応援の気持ちを物理的に(お金で)表現する方法。
- 起源:歴史的には、神社仏閣でのお賽銭(小銭)や洗米が起源とされています。
大衆演劇とおひねりの関係
大衆演劇は、観客が役者を身近に感じることができる演劇の形態です。そのため、おひねりは観客と役者との仲を深める大切な要素となっています。
おひねりを何度か繰り返せば、顔を覚えてもらえるのも最大のメリットですね。
おひねりは単なる「お金を渡す行為」ではなく、日本の文化と深く結びついているものです。
江戸時代
江戸時代には、既におひねりが庶民の娯楽として定着していました。特に、大衆演劇や人形浄瑠璃(じょうるり)などでよく見られました。
この時代には、おひねりが演者の収入の大半を占めることも多かったと言われています。もちろんこの時代のおひねりは、紙に包んだ小銭でした。
現代
現代では、大衆演劇をはじめとする地方の伝統芸能でおひねりが行われています。
ただし、それぞれの形式は多少変わり、たとえば、淡路人形座では、最後に幕が閉まりだしたら、観客が紙に包んだ小銭を投げます。
おひねりは、江戸時代から日本の文化として受け継がれており、観客と演者が一体となって作品を楽しむ大切な要素とされています。
おひねりの語源とその意味
お金やお米を入れて紙をひねる
紙幣のない時代からおひねりの文化はあったと考えられます。
お金(または洗米)を入れて紙の口をひねることから、「おひねり」という言葉ができたようです。
このようにして渡されたお金は、僧侶、神社の神職などに対する感謝や尊敬の意を表すものとされていました。
おひねりの形態
おひねりは、お金を特定の形(扇や首飾り、花束)にしたり、袋や封筒に入れて役者さんの襟元にクリップで留めて渡すこともあります。
おひねりと観客層の変化
大衆演劇のおひねり文化のネット版って感じかね?
そー考えると昔からある文化やね pic.twitter.com/lRs3xaXIsp— SIN13 (@sin13555) March 12, 2022
大衆演劇が見られる劇場とイベント
おひねりは特に大衆演劇でよく行われます。大衆演劇は、地方の祭りや専用の劇場、さらには観光地でのイベントなどで楽しむことができます。
若い女性や外国人観光客の増加による影響
大衆演劇はマダムのファンが多いイメージですが、近年の観客層には若い女性や外国人観光客の数が増えています。
このような観客層の変化により、おひねりの形式も額も多様化しています。
おひねりのスマートな渡し方
大衆演劇絡みの依頼受けてからなんとなくぐぐって一度は観てみないとって思ってるけどファンの推し演者へのおひねり渡しのまるでデコレーションするかのように万札綺麗に衣装に挟むスタイル改めてすごいなーって。 pic.twitter.com/jDKW46J9lS
— hossy (@dqhossy) February 24, 2019
おひねりの作り方と包み方
おひねりを渡す際に、その「作り方」と「包み方」が気になりますよね。まずは、なるべく新しいお札を用意します。
- 新札の用意:なるべく新札を用意することで、気持ちをきちんと伝えることができます。
- 封筒や袋の選び方:和風の封筒や華やかなご祝儀袋を選ぶと、より格式を感じさせることができます。
- おひねりの作り方:お札を首飾りや扇、花束の形にして渡す人もいます(大金向き)
渡すタイミングとマナー
おひねりの「渡すタイミング」と「マナー」は、劇場によって異なります。
これはもう、常連のお客さんの後に続けば間違いありません。
- タイミング:常連のお客さんが何らかのアクションを起こしたとき。
- マナー:渡す際には、目を合わせて微笑むことが基本です。応援の言葉をかけるのもいいかも。マナーはただそれだけだと言えます。
大衆演劇のおひねりのタイミング
大衆演劇での「おひねり」の一般的なタイミングは以下のようなものです。
- 演技が終わった直後:演者が舞台での演技を終えた直後に、拍手や声援と一緒におひねりを渡すことが多いです。
- カーテンコール時:演技が全て終わり、演者が再度舞台に登場するカーテンコールの際も、おひねりを渡す機会とされています。
- 休憩時間:一部の劇場やイベントでは、演技の合間に設けられた休憩時間に、専用の箱におひねりを入れる形式を取っている場合もあります。
- 演者が観客席に近づくタイミング:一部の大衆演劇では、演者が観客席に近づいておひねりを受け取るスタイルもあります。
大衆演劇のおひねりのマナー
- 役者さんの着物の胸元にクリップで留める:クリップはヘアー用のキラキラしたものや100均で購入できるものです。お札そのままの状態で留める人もいれば、封筒に入れてクリップで留める人もいます。帯に留めている人もいました。
- 胸元や袖に入れる:封筒の場合は胸元に差し込んだり袖に入れる人もいます。
- 扇や首飾り、花束にして渡す:高額の場合は、扇や首飾り、花束にして渡します。
国分寺駅からの交通費の渡し方っていろんな方法あるんだな pic.twitter.com/BKuDxSIqyz
— ねこ (@neeeekoneeeeko) December 5, 2021
写真は大衆演劇の役者さんではありませんが、お札でレイを作る人もいます。
どの方法が最適かは、その場の雰囲気や自分自身の好みによる部分もあります。
事前に劇団や劇場のウェブサイトで情報を確認するか、スタッフに問い合わせてみてもよいでしょう。
ユーチューブにもアップされているので、「大衆演劇 おひねり」で検索して事前にチェックしてみましょう。
首飾りや扇は両面テープやホッチキスを使います。
詳しい作り方については、言葉のギフトさんというブログに紹介されています。
花束は、お花一つ一つにお札を巻き付けるなど、かなり高額向けです。
おひねりの相場や最高額
「大衆演劇 おひねりの額」については、下限、上限が設定されているわけではありません。
おひねりは観客が演者に対して感謝や評価を示すためのものなので、渡す場合はだいたい1,000円から「予算の許す限り」になります。
- 相場:多くの場合、1,000円から5,000円程度がボリュームゾーンとされています。
- 最高額:リッチなファンなら100万円級の場合もあるそうです。
おひねり用の袋・封筒の選び方
おひねりを封筒で渡す場合も、おしゃれな封筒を使うことで、応援の気持ちをより高める要素となります。
- 和風の袋:日本の伝統や文化を感じさせる和風の袋がおすすめです。
- 封筒のデザイン:高級感のある祝儀袋を選ぶと、お札のレイに引けを取らない華やかな印象になります。
- オリジナルの封筒:気持ちの伝わる手作りの封筒を着物に引けを取らない綺麗なクリップで留めましょう。
おひねりではなくプレゼントもOK!
プレゼントを渡すお客さんもいます。紙袋で渡すより中身が見える透明のラッピングの方がおすすめです。
役者さんの手が花束やプレゼントで塞がるとスタッフがプレゼントを預かってくれるようです。
大衆演劇のおひねりにコインは控えよう!
おひねりにコインを使用することは一般的にはあまりありません。(劇場が推奨している場合は別)
扱いが不便
コインは重く、また数が多くなると扱いが不便です。特に、人気の役者さんが多くのおひねりを受け取る場合、その不便さは増します。通帳に入れるにも手数料が発生する場合もあり面倒ですよね。
伝統的な習慣
日本の大衆演劇においては、おひねりは紙幣で渡すのが一般的です。
1,000円のおひねりでもまったく問題なし!
数万円の扇などを見てしまうと、1,000円のおひねりでは気が引けると考えがちですが、おひねりは入場料に追加するお金です。もちろんおひねりをしない人もいます。
役者さんは自分のところに多くのファンが集まってくれることも嬉しいものだと思いますので、1,000円のおひねりや応援のお手紙でも大歓迎でしょう。
気になるおひねりの税金
おひねりは役者さんの所得となるので、役者さん側に所得税が発生します。
参考:歌舞伎役者やタカラジェンヌへのおひねり
歌舞伎や宝塚歌劇では、「おひねり」を直接演者に渡す文化はありません。
これらの演劇形式は、大衆演劇とは異なり、よりフォーマルな舞台が多く、直接的な観客と演者との接触は少ないです。
歌舞伎(歌舞伎役者)
歌舞伎では、演者に対する応援や評価は主に拍手や声援で表現されます。
また、歌舞伎には「見得(みえ)」と呼ばれる独特のポーズがあり、そのタイミングで観客が声援を送ることが一般的です。
宝塚歌劇(タカラジェンヌ)
宝塚歌劇でも、タカラジェンヌに直接お金を渡す文化はありません。
ファンクラブを通じてのサポートや、公式グッズの購入、舞台を何度も観劇することで応援するのが一般的です。
ただし、両者ともに特定の場合やイベントで、演者に対して贈り物を送る文化は存在する場合もありますが、これは公式なルートやマナーに則って行われます。
総じて、歌舞伎や宝塚歌劇では、大衆演劇とは異なる形で役者さんを支持・応援する文化があります。
参考:おひねり、チップ、ご祝儀、投げ銭、心づけの違い
これらの言葉は、すべてお金を渡す行為に関連していますが、文化や状況、目的によって異なる意味を持ちます。
おひねり
- 文化・状況:日本の大衆芸能など
- 目的:演者への評価や応援を表す
- 形態:そのままもしくは、封筒に入れることもあり
チップ(Tip)
- 文化・状況:主に西洋文化、レストランやホテルなど
- 目的:サービスに対する評価として
- 形態:現金またはカードで支払い時に追加
ご祝儀
- 文化・状況:日本の結婚式などの祝い事
- 目的:お祝いの意を示す
- 形態:ご祝儀袋に入れ、名前を記入
投げ銭
- 文化・状況:ストリートパフォーマンスやライブ演奏
- 目的:演者への応援や評価
- 形態:その場で専用の箱やケースに入れる
心づけ
- 文化・状況:旅館の仲居さんなどのサービス業。チップともいう。
- 目的:良いサービスや手間をかけた仕事に対する感謝
- 形態:現金を直接渡すことが多いが、小袋があればよりスマート
ユーチューブの生放送では「スーパーチャット(スパチャ)」と呼び、人気の配信者と話せるチャンスができます。
ココナラのサービスでは「おひねり」で、仕事の対価以上の感謝を表すことができます。
大衆演劇のおひねりにまつわるQ&A
Q1:おひねりは必ずしなければいけないのか?
A1:おひねりは、観客が演者に対して応援や評価を示す一つの方法ですが、必ずしも「しなければいけない」というわけではありません。
ただし、少額でもおひねりをすることで役者さんとの一体感が生まれ、顔を覚えてもらえるかもしれません。
Q2:おひねりの相場はどれくらい?
A2:おひねりの相場は特にありません。
千円からが相場とされています。入場料は支払っているので、自分が渡せる範囲でおひねりを用意するだけでよいでしょう。
Q3:おひねりをしないとどうなる?
A3:何もありませんが、ご贔屓の役者さんができたら、ぜひチャレンジしてみましょう!
大衆演劇のおひねりは楽しい文化
この記事では、おひねりの基本からその意味、大衆演劇との関連性、さらには具体的な渡し方や注意点まで、幅広く詳しく解説しました。
おひねりは単なる「お金を渡す行為」ではなく、役者さんとファンが一体となって楽しむ大衆演劇の文化の一部です。
この記事を通じて、おひねりと大衆演劇の魅力や重要性が少しでも伝われば嬉しいです。