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龍泉洞の事故(1968年)徹底解説、犠牲者は大学生?怖い?現在は国の天然記念物の観光地!

龍泉洞の事故

岩手県下閉伊郡(しもへいぐん)岩泉町に位置する龍泉洞は、その美しい地底湖と壮大な鍾乳石で知られる日本三大鍾乳洞の一つです。

ちなみに、残りの二つは、山口県の「秋芳洞」と高知県の「龍河洞」になります。

しかしこの龍泉洞では、1968年、潜水調査中に悲劇的な事故がありました。

「龍泉洞」は現在、洞窟内の綿密な調査によって、岩手を代表する観光スポットの一つとして知られるようになっています。

今回の記事では、1968年に発生した事故から観光スポットとしての龍泉洞の魅力まで、幅広くご紹介します。

龍泉洞の概要

龍泉洞は岩手県の岩泉町に位置する日本三大鍾乳洞の一つで、1938年に洞窟内に棲息しているコウモリとともに「岩泉湧窟及びコウモリ」として国の天然記念物にも指定されています。

公式サイトによると、洞窟の総延長は約4,088mメートルに及び、そのうち約700メートルが一般に公開されているそうです。

洞窟の調査は完了していないため、実際の総延長は5,000m以上ともされています。

龍泉洞の最大の魅力は、岩泉湧窟(わっくつ)と呼ばれる幻想的な地底湖と、世界有数の透明度を誇る美しい水質です。

洞内には8つの地底湖が存在し、そのうち3つが公開され、訪れる人々を魅了してやみません。

洞窟内は年間を通して10℃前後で、夏は上着が必要なほど涼しく、冬は比較的暖かいという特徴があります。

また、洞内には多種多様な鍾乳石が形成されており、自然が生み出したアートを楽しむことができます。

洞窟内にはキクガシラコウモリ、コキクガシラコウモリ、モモジロコウモリ、ウサギコウモリ、テングコウモリの5種のコウモリが生息しており、これらも国の天然記念物に指定されています。

龍泉洞は、その美しさだけでなく、地質学的な価値も高く評価されており、科学的な研究の対象ともなっています。

龍泉洞事故とは何か?犠牲者は大学生?

龍泉洞事故の被害者はプロのダイバーで大学生ではない

龍泉洞事故の犠牲者を大学生だと思われている方もいるようですが、探検部の合宿中の21歳男子大学生が洞窟内で行方不明になったのは、2008年1月5日に、岡山県新見市にある日咩坂鐘乳穴(ひめさかかなちあな)地底湖で発生した別の事件です。

龍泉洞内の調査

  • 1920年代 探索開始
  • 1959年 調査第一地底湖(水深35m)発見
  • 1962年 越智研一郎氏らによる調査開始第二地底湖(水深38m)発見
  • 1967年 入口の向かい側に龍泉新洞が発見される。第三地底湖(水深98m)発見。現在の観光コースの最終地点
  • 1968年12月5日 潜水中の事故により高橋孝治隊員が亡くなり、調査は無期限中断となる
  • 2009年 久保彰良氏らによる調査再開
  • 2016年 大型台風の被害で中断
  • 2022年初夏 調査再開

龍泉洞の悲劇的な事故の概要

龍泉洞の地底湖探索調査隊は「日本ケイビング協会ビーバー集団」と呼ばれていました。

1962年には第二地底湖を発見し、1968年の夏、徳島で不慮の事故で亡くなった越智研一郎氏の遺志を継ぎ、松野正司氏が指揮を担当しました。

犠牲になった高橋孝治隊員は、松野隊長ら3名と共に1968年12月15日午後3時20分から、龍泉洞の入口から約350メートル奥の通称第四の壁から第五の壁にかけてアクアラングを使用して潜水調査を行っていました。

しかし、第四の壁の最低位である水深51メートルに達した際、急に岩肌に沈澱していた石灰岩で水が濁り始めました。これにより、一時的に潜水調査を中止し、浮上することにしました。

この時、島西隊員とペアを組んでいた高橋隊員が突然方向感覚を失い、命綱を持ったまま失神状態に陥りました。

そのため、残りの隊員が高橋隊員を約10メートル浮上させましたが、圧縮空気ボンベの残量が少なくなり始めました。

そこで、補給ボンベを用意するために小林副隊長と高橋隊員の2人を残し、松野隊長と島西隊員が浮上しました。

しかし、水中に残っていた小林副隊長のボンベが空になり、自身の命が危険にさらされる状況となったため、半ば失神状態で水面に出ました。

その後、松野隊長と島西隊員がボンベを用意し、1回目の捜索に向かいましたが、高橋隊員を発見できませんでした。

再度の捜索が午後8時20分過ぎに行われ、水深50メートルの地点で高橋隊員の水死体を発見し、松野隊長らの手によって引き揚げられました。

事故の影響

事故の後、松野正司氏は日本ダイビングスポーツ社を設立し、日本のスポーツダイビングの発展に貢献しました。

また、島西靖之氏はPADIインストラクターとなり、ダイビング教育と器材の普及に尽力しました。

この事故は、潜水中に潜むリスクと、それに対する適切な準備の重要性を改めて教えてくれます。

また、事故の経験から学び、それを基に安全対策を強化し、後世に知識を伝えることの大切さを示しています。

※ 以上、dirtechさんの「龍泉洞潜水奇譚」を参考にまとめました。

龍泉洞の現在と未来

事故から数十年が経過した現在、龍泉洞は安全対策の徹底とともに、その美しさを多くの人々に広く伝える観光地として発展を遂げています。

事故の教訓を生かし、安全管理体制を強化した上で、龍泉洞は一般公開されている地底湖を中心に、訪問者に自然の驚異を体験してもらうための様々な取り組みが行われています。

未来に向けて、龍泉洞はさらなる科学的な研究の場としての価値を高めていくとともに、持続可能な観光地としての発展を目指しています。

環境保護と観光のバランスを考慮しながら、洞窟の自然環境を守りつつ、より多くの人々にその魅力を伝えていくことが求められています。

観光スポットとしての「龍泉洞」

龍泉洞

観光スポットとしての「龍泉洞」は、その自然が生み出した壮大な美しさと、地下の神秘的な世界を探検できる魅力で、多くの訪問者を引きつけています。

洞内には、美しい鍾乳石と世界有数の透明度を誇る青い地底湖が存在し、龍が通ってできたという逸話のある「百間廊下」は断層に沿って形成された直線的な通路で、昔は若者たちが松明をかざし、舟を漕ぎ、洞窟奥の上流へ探検した出発地点でした。

トンネル出口は一方通行の際の出口であり、ここには地元のワインが貯蔵されています。洞内は一年中10℃前後で、夏場は肌寒く感じるため、羽織る物が推奨されます。第三地底湖からの階段は上り下り合わせて270段あり、途中で第一地底湖を展望できます。

月の世界を思わせる「月宮殿」は、2011年にLED照明に改修し、幻想的な雰囲気を楽しめます。

幻想的な地底湖

龍泉洞の最大の魅力の一つは、その幻想的な地底湖です。

透明度が非常に高く、湖底まで見通せることがあります。特に「ドラゴンブルー」と称される湖の青さは、訪れる人々を魅了し続けています。

地底湖の神秘的な美しさは、龍泉洞ならではの体験であり、忘れがたい思い出となるでしょう。

とくに第3地底湖の透明度は41.5mと世界一とされており、1985年に名水百選に選定されました。

敷地内には水飲み場があり、龍泉洞の水を楽しむことができます。

壮大な鍾乳石

洞窟内には、数百万年の歳月をかけて形成された壮大な鍾乳石が広がっています。

天井から垂れ下がる石筍や、地面から立ち上がる石柱など、様々な形の鍾乳石が訪問者の目を楽しませてくれます。

自然の芸術作品とも言えるこれらの鍾乳石は、龍泉洞の大きな魅力の一つです。

豊かな生態系

龍泉洞は、5種類のコウモリをはじめとする多様な生物の生息地でもあります。

洞窟内では、特有の生態系が形成されており、科学的な研究の対象となっています。

自然保護の観点からも重要なこの場所は、生物多様性の大切さを学ぶことができる貴重なスポットです。

教育的価値

龍泉洞は、地質学や生物学など、科学的な知見を得ることができる教育的な場所でもあります。

特に子どもたちにとっては、自然の不思議を直接体験し、学ぶことができる絶好のフィールドです。

観光だけでなく、学びの場としても大きな価値を持っています。

アクセスの良さ

岩手県岩泉町に位置する龍泉洞は、盛岡市からバスで120分。車がなくても行ける場所にあります。

自然豊かなこの地域は、龍泉洞訪問と合わせて、豊かな自然や地域の文化を満喫することができるでしょう。

観光スポットとしての龍泉洞は、その自然の美しさ、科学的な価値、そして教育的な意義において、多くの人々にとって魅力的な目的地です。

一度訪れれば、その神秘的な美しさと自然の偉大さに心を奪われること間違いなしです。

スポット名 龍泉洞
所在地 岩手県下閉伊郡岩泉町岩泉字神成1番地1
アクセス 盛岡駅発の岩泉・龍泉洞線バスで120分・龍泉洞前下車ほか・駐車場あり
営業時間 10月~4月8:30~17:00/5月~9月8:30~18:00
定休日 年中無休(増水などで臨時休業あり)
入場料 大人(高校生以上)1,100円/小中学生550円

龍泉洞の事故にまつわるQ&A

Q1: 龍泉洞事故とは具体的に何が起きたのですか?

A1: 龍泉洞事故は1968年に発生しました。

この事故では、洞窟内の地底湖で潜水調査を行っていたダイバーが行方不明となり、後に死亡が確認されました。

潜水中に起きたトラブルが原因で、ダイバーは水中で方向感覚を失い、最終的には救出されることなく亡くなりました。

この事故は、洞窟潜水の危険性と、適切な準備と安全対策の重要性を改めて浮き彫りにしました。

Q2: 龍泉洞事故後、どのような安全対策が講じられましたか?

A2: 龍泉洞事故を受けて、無期限の調査中断はあったものの、洞窟内での潜水調査に対する安全対策が大幅に強化されました。

具体的には、潜水チームのメンバーに対するより厳格な訓練要件の設定、潜水器材の性能向上、緊急時の対応計画の策定、そして洞窟内の詳細な地形調査を行うことでリスクを事前に把握し、対策を講じることが求められるようになりました。

これらの対策は、潜水調査の安全性を高めることを目的としています。

Q3: 龍泉洞を訪れる際に、観光客が安全に洞窟を楽しむためのアドバイスはありますか?

A3: 龍泉洞を安全に楽しむためには、以下のアドバイスが役立ちます。

まず、公式ガイドの案内に従い、指定されたコースを歩くことが重要です。洞窟内は一定の温度が保たれていますが、外気温との差があるため、適切な服装で訪れることをお勧めします。

また、滑りやすい場所があるため、歩きやすい靴を履いて訪れることが望ましいです。

洞窟内では、自然を尊重し、指示に従って行動することで、安全かつ楽しい探検が可能です。

龍泉洞の事故の経験を生かす

龍泉洞

1968年の龍泉洞事故は、調査活動に潜むリスクを浮き彫りにしました。

この事故を通じて得られた教訓は、洞窟探検の安全対策を強化し、後世にその重要性を伝える貴重な遺産となっています。

龍泉洞の美しさを未来に継承するためにも、私たちは自然の力を尊重し、安全に対する意識を常に高く持つ必要があります。

Ruby
Ruby
命を落とされたダイバーさんの死を無駄にしてはならないですね。