セントルイスはアメリカ合衆国ミズーリ州に位置する人口約290万人の都市です。
多くの観光名所やビジネスの拠点がありますが、治安については注意が必要です。
この記事では、セントルイスの治安の状況について詳しく解説します。とくに、観光やビジネス、移住を考えている方にとって、治安は非常に重要な要素ですよね。
地域ごとの犯罪率や、どのような注意が必要なのか、そしてなにより治安の悪い場所は具体的にどこなのか?
これらの情報をお届けし、セントルイスでの安全な滞在をお手伝いします。
この記事を読むことで、セントルイスの治安に対する理解が深まり、より安全な旅行や生活が可能になるでしょう。ぜひ、最後までご覧ください。
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セントルイスはどんな街?
セントルイスは二つの顔を持つ街
セントルイスは文化的に豊かで、美術館や劇場があり、音楽イベントも多く開催されます。
とくに、ジャズやブルースの歴史が深く、多くのライブハウスが点在しています。
また、観光名所も豊富で、斬新なデザインのゲートウェイアーチや植物園、博物館があり、これらは家族連れにも人気のスポットです。
一方で、治安の面では注意が必要です。特にダウンタウンや橋を挟んだイーストセントルイス周辺は治安が悪く、夜間の外出はできるだけ避けた方が良いとされています。
セントルイスは、犯罪率もアメリカ全体の中で上位にランクインすることが多く、観光客にとっては非常に警戒が必要です。
また、人種間の経済格差が存在し、それが社会問題ともなっています。
セントルイスは黒人の多い街
セントルイスはアメリカで黒人の割合が高い都市の一つです。最新の統計によれば、セントルイス市内の人口の約50%以上がアフリカ系アメリカ人(黒人)です。
20世紀初頭から中頃にかけて、南部から北部への大規模な黒人の移動(Great Migration)がありました。セントルイスはその中継地点として、そして工業都市として多くの黒人が移住しました。
セントルイスにはジャズやブルースなどの黒人文化が根付いており、それが新たな移住者を引き寄せる要因ともなっています。
しかしながら、セントルイスには低所得者層が多く、その中には黒人も多く含まれます。人種間の経済格差は犯罪率の高さとも関連しているとされています。
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セントルイスは治安の悪い犯罪都市なのか?
米国の統計からも確かにセントルイスは治安が心配な都市である
セントルイスには治安が良くないエリアが存在し、とくにダウンタウンと北部は、犯罪率が高く治安が悪い地域です。
夜間にこれらのエリアを訪れる場合、強盗や窃盗のリスクが高くなる可能性があります。地元警察も、これらのエリアでの警戒を強化しています。
具体的なスポットについては、後述します。
セントルイス(主に北部と中心部)の治安が悪い理由
経済的要因
- 貧困率が高い: セントルイスは一般的に低所得であり、貧困が犯罪を引き起こす一因とされています。
- 失業率: 高い失業率は犯罪につながる可能性があります。
社会的要因
- 教育の不平等: 良い教育を受けられない環境が、犯罪に走る若者を増やしています。
- ギャング活動: ギャングが暗躍しており、暴力犯罪や麻薬取引が多いです。
地理的・都市計画の要因
- 人口密度: 高い人口密度は、犯罪が起きやすい環境を作り出します。
- 都市の老朽化: 老朽化したインフラや不十分な公共サービスが治安を悪化させる可能性があります。
政治・制度的要因
- 警察の不足: 警察力が不足しており、犯罪の抑制が難しい状況です。
- 刑事政策: 緩い刑事政策や司法制度が、犯罪を抑えきれない状況を作っています。
これらの要因は複合的に作用しており、一つ一つの要因だけでなく、その相互作用が高い犯罪率を引き起こしています。
セントルイスは比較的治安が良いエリアと悪いエリアがにわかれている
前述のとおり、セントルイスは一概に治安が悪いと言えるわけではありません。実際には、治安が良いエリアと悪いエリアが明確に分かれています。
治安が良いエリア(南部)では、地元住民も安心して生活しています。子育てやビジネス、教育にも適した環境が整っています。
一方で、ダウンタウンやノースセントルイス(北部)などは治安が悪く、とくに夜間は外出を控えるようにとの警告もあります。犯罪率が高く、観光客にとっても危険な場所とされています。
このように、セントルイス内でもエリアによって治安状況が大きく異なるため、訪れる場所によっては特別な安全対策が必要です。
地域ごとの治安状況を事前に調査し、それに合わせて行動することが重要です。
以上の情報を踏まえて、セントルイスを訪れる際は、治安の良いエリアと悪いエリアをしっかりと把握し、適切な対策を講じましょう。
セントルイスで治安が悪いエリア
セントルイスで治安が悪いエリア・ワースト10
以下の一覧表は、セントルイスで治安がとくに悪いとされる地域です。これらの地域は、セントルイス市全体の暴力犯罪の平均値に対しても、高い犯罪率となっています。(参照元:areavibes)
地域名 | 人口 | 暴力犯罪率(10万人あたりの件数) | 犯罪率(セントルイス全体を100) |
---|---|---|---|
①PEABODY-DARST-WEBBE | 1,652 | 5,081 | 242% |
②OLD NORTH SAINT LOUIS | 1,438 | 4,169 | 181% |
③WELLS-GOODFELLOW | 5,002 | 4,119 | 177% |
④ACADEMY | 2,766 | 4,020 | 171% |
⑤HAMILTON HEIGHTS | 2,680 | 3,986 | 169% |
⑥THE VILLE | 1,546 | 3,878 | 161% |
⑦WALNUT PARK WEST | 2,780 | 3,803 | 156% |
⑧BADEN | 4,442 | 3,779 | 155% |
⑨HYDE PARK | 1,766 | 3,642 | 145% |
⑩JEFFVANDERLOU | 5,076 | 3,586 | 142% |
2019年の警察庁の統計によれば、東京都の暴力犯罪率は10万人あたり約50件、大阪府は10万人あたり約60件程度なので、(完全に同じ条件での比較はできませんが)セントルイスは日本の大都市よりもはるかに治安が悪いといえますね。
ちなみにアメリカでセントルイス以外で治安に問題がある地域は、バルチモア(Baltimore)、デトロイト(Detroit)、シカゴ(Chicago)、ニューオーリンズ(New Orleans)等です。
危険エリア:昼も夜も近寄らない方がよい
トラベルバックが具体的な地域を提示しています。
ピーボディ・ダースト・ウェッブ/ウェルズグッドフェロー/オールドノースセントルイス/アカデミー/ハミルトンハイツ/ヴィル/ウォルナットパーク/バーデン/ハイドパーク/ジェフヴァンダーロウ
areavibesのデータと同じになります。
警戒エリア:観光客はなるべく避けるべきエリア
タワーグローブサウス/ダッチタウン/ダウンタウン/カロンデレット/カレッジヒル
超危険なスポット!橋の向こうのイーストセントルイス
イーストセントルイス(East St. Louis)は、アメリカのイリノイ州に位置する人口約1万8,000人の都市で、黒人の割合が約97%。3人に1人が貧困層です。街全体がスラム化しています。
イーストセントルイスは、セントルイスのミシシッピ川を挟んだ対岸になります。
イーストセントルイスの殺人発生率は人口10万人あたり101.9件を記録し、これは全米平均の約18倍です!
治安に関しては以下のような状況が報告されています。(参照元:NeighborhoodScout)
- 総犯罪指数: 16(100が最も安全)
アメリカの中では一番治安の悪い地域のようです。 - 暴力犯罪率: 10.55(1,000人あたり)
全米平均は約4です。 - 暴力犯罪の被害に遭う確率: 1/95
イリノイ州全体では1/253です。 - 財産犯罪の被害に遭う確率: 1/73
イリノイ州全体では1/67です。
セントルイスとイーストセントルイスの関係
地理的位置
- 近接性: セントルイスはミズーリ州に、イーストセントルイスはイリノイ州に位置していますが、ミシシッピ川を挟んで非常に近い距離にあります。
- 交通: 両都市は橋で結ばれており、車や公共交通機関で簡単に行き来が可能です。
経済的関係
- 労働市場: イーストセントルイスの住民の中には、セントルイスで働いている人も多いです。
- 産業: 両都市は工業やサービス業、観光業などで相互に影響を与え合っています。
社会・文化的関係
- 共通の文化: 音楽やスポーツなど、文化的な要素での共通点も多いです。
- 地域イベント: 両都市で共同で開催されるイベントやフェスティバルもあります。
治安
- 治安の格差: セントルイスも治安が悪いとされていますが、イーストセントルイスはさらに治安が厳しいとされています。
- 地域間の影響: 両都市の治安状況は、住民や観光客、ビジネスにも影響を与えています。
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セントルイスで比較的安心なエリア
トラベルバックによると、セントルイスのもっとも安全なエリアは、都市の南部エリア(サウスシティ)、とりわけサウスシティの南西部にあるそうです。
プリンストンハイツ/クリフトンハイツ/セントルイスヒルズ/サウサンプトン/ノーサンプトン/リンデンウッドパーク
観光に特化した宿泊場所のおすすめは以下のとおりです。
ミッドタウン/グランドセンター/セントラルウエストエンド/フォレストパーク/Soulard/ループ(デルマーループ)
治安の悪いセントルイスでの安全対策・観光対策
- 治安の悪いエリアは避ける: 地域ごとの治安情報を事前に調べ、危険なエリアは避けましょう。
- 夜間の外出を控える: 治安の悪いエリアではとくに、夜間の外出は避けた方が良いです。
- 貴重品は最小限に: 貴重品は必要最低限しか持ち歩かないようにしましょう。
- 周囲の人々との距離を保つ: 不審な人物には近づかず、必要以上に目立たないようにしましょう。
- 公共交通機関の利用: タクシーや公共交通機関を利用する際も、信頼性のあるサービスを選びましょう。
- 地元の法律や規則を守る: 知らず知らずのうちに法を犯さないよう、地元の法律や規則には十分に注意しましょう。
- 緊急連絡先を保存: 緊急時にすぐに対応できるよう、現地の緊急連絡先をスマートフォンに保存しておきましょう。
- 友達や家族に行く先を知らせる: 外出する際は、行く先や帰宅時間を友達や家族に知らせておくと安全です。
- 自己防衛グッズを携帯: 防犯ベルやホイッスルなど、自己防衛用のグッズを携帯することも有用です。
- 直感を信じる: 何か「おかしい」と感じたら、その直感を信じて行動することが重要です。
セントルイス治安改善の取り組み
政府とNGO(非政府組織)による治安改善の取り組み
参照元は、stlouis-mo.govです。
セントルイス市の取り組み
セントルイス市は「Office of Violence Prevention(暴力防止事務局)」を設立しています。
この事務局は、公共の安全を確保するための資源と地域社会における暴力介入プログラムを調整しています。主な取り組みとして以下のようなものがあります。
- CURE Violence Initiative: セントルイス保健局が管理するこのプログラムは、暴力を防ぐために地域社会と連携しています。
- Crisis Response: このシステムは、危機にある個人やそのサポートを求める個人に対して、早期に介入することを目的としています。
- Community Violence Intervention: このプログラムは、銃暴力の中心にいる人々と関係を築き、暴力を減らすことを目的としています。
NGO(非政府組織)の取り組み
いくつかのNGOも治安改善に取り組んでいます。例えば、「Urban League」や「Employment Connections」などが地域社会で活動しています。
セントルイスは治安が悪いだけではなく、魅力的な街でもある!
セントルイスは多様な文化が共存し、それぞれが地域社会に深く根付いています。
音楽、食、アート、スポーツと、多くの面で独自の文化を築いている都市です。
セントルイスの魅力
地理的特徴
- ミズーリ州に位置: アメリカ中西部に位置し、ミズーリ川とミシシッピ川が交差する地点にあります。
- 交通の要所: 河港が発展しており、鉄道や高速道路の交通が集まる重要な拠点です。
経済
- 多様な産業: 製造業からサービス業、IT産業まで多様なビジネスが展開されています。
- 観光業: ゲートウェイアーチ(Gateway Arch)などの観光名所も多く、観光業も盛んです。
文化・歴史
- 音楽文化: ジャズやブルースが根付いており、多くの音楽イベントが開催されます。
- スポーツ: メジャーリーグの野球チーム、セントルイス・カージナルスが有名です。
教育・研究
- 高等教育機関: セントルイス大学やセントルイス・ワシントン大学など、高い教育水準を誇る大学があります。
- 研究機関: 医療やバイオテクノロジー(生物工学)の研究が盛んです。
セントルイスは多面的な魅力を持つ街であり、治安の問題もありますが、その他にも多くの面で注目される都市です。観光、ビジネス、学術研究など、多くの可能性を秘めた場所と言えるでしょう。
セントルイスのおすすめ観光スポット
ゲートウェイアーチ
このアーチはセントルイスのシンボルとも言える建造物で、高さ630フィート(約192m)です。エレベーターで頂上まで行くことができ、そこからはセントルイス市内が一望できます。
- 規模: 高さ630フィート(約192m)
- 必要な時間: 1~2時間
- 費用: アーチへのエレベーター料金は大人で約$14、子供で約$11
ミズーリ植物園
広さ79エーカー(約320,000㎡)にわたるこの植物園は、多くの種類の植物や花が展示されています。
- 規模: 79エーカー(約320,000㎡)
- 必要な時間: 3~4時間
- 費用: 大人$14、子供無料
セントルイス動物園
無料で入場できるこの動物園は、多くの種類の動物が展示されており、家族連れに人気です。
- 規模: 90エーカー(約364,000㎡)
- 必要な時間: 3~5時間
- 費用: 入場無料、一部アトラクションは有料
セントルイス美術館
この美術館は無料で、多くのアート作品が展示されています。
- 規模: 30万平方フィート(約27,870㎡)
- 必要な時間: 2~3時間
- 費用: 入場無料、特別展示は有料
セントルイス科学センター
科学に興味を持つ人々にはこの場所がおすすめです。多くの展示と実験が行われています。
- 規模: 300,000平方フィート(約27,870㎡)
- 必要な時間: 2~4時間
- 費用: 入場無料、一部展示やイベントは有料
セントルイスの歴史
セントルイスは、1764年にフランス人商人ピエール・ラクレードらによって設立されました。
当初は毛皮貿易の拠点として栄え、1803年にアメリカに買収されアメリカ領となりました。
19世紀には、ミシシッピ川沿いの交通の要所として急速に発展。1849年には大火事がありましたが、その後も成長を続け、鉄道の拡張とともに中西部の大都市へと変貌しました。
1904年にはセントルイス万国博覧会と第3回オリンピックが開催され、世界的な注目を集めました。
しかし、20世紀後半に入ると、工業の衰退と都心部の荒廃が進み、治安の問題も顕在化。
近年では再開発が進められ、観光地としても注目されていますが、一部地域では依然として治安が悪い状況が続いています。
このように、セントルイスは多くの歴史的変遷を経て今日に至っています。その歴史は、現在の文化や社会構造にも大きな影響を与えています。
セントルイスの文化
セントルイスはアメリカ中西部に位置する都市のため、多様な文化が交錯する場所です。
音楽、特にブルースとジャズが非常に根付いており、多くのライブハウスや音楽フェスティバルが開催されています。また、セントルイス交響楽団は国際的にも高い評価を受けています。
セントルイスはアメリカのブルースとジャズにおいて重要な地位を占めています。
特に、W.C.ハンディの「セントルイス・ブルース」はその名の通り、この地域で発展したブルースのスタイルです。この曲は、セントルイスがブルースに与えた影響を象徴する曲とされています。
また、ジャズにおいてもセントルイスは重要な都市であり、多くのジャズミュージシャンがこの地で活動しています。Miles Davis(マイルス・デイビス)、一人の最も影響力のあるジャズミュージシャンの一人、はセントルイス近郊の出身です。
セントルイスの地理と気候
セントルイスはアメリカ合衆国ミズーリ州に位置し、ミシシッピ川とミズーリ川が交差する地点に近いため、交通の要所となっています。市域は比較的平坦で、周囲を広大な平原と丘陵地が取り囲んでいます。
気候については、湿潤大陸性気候に分類されます。夏は暑く湿度が高く、気温が30度以上になる日も多いです。一方で、冬は寒く、時には雪も降ります。春と秋は温暖で過ごしやすい季節とされていますが、急な気温変化や雷雨が発生することもあります。
このような地理と気候の特性から、セントルイスは農業、交通、観光など多様な産業が発展しています。しかし、気候の変動による極端な天候も報告されており、その影響に備える必要があります。
セントルイスの名物料理
食文化も多様で、バーベキューからイタリア料理、さらには地元特有の料理(例:トーステッド・ラビオリ、グーイーバターケーキ)まで楽しめます。ビール文化も盛んで、多くの地ビールが生産されています。
セントルイススタイルピザ
セントルイススタイルピザ(St. Louis-style pizza)は、薄いクラストと特有のチーズ「プロヴェル」(プロヴォローネ、スイス、白身チーザーのブレンド)を使用しています。
トーステッドラビオリ
トーステッドラビオリ(Toasted Ravioli)は、パン粉でコーティングされたラビオリ(パスタの一種)を揚げた料理です。
グーイーバターケーキ
グーイーバターケーキ(Gooey Butter Cake)は、バターとクリームチーズを主成分とした甘いケーキです。
ポークステーキ
ポークステーキ(Pork Steak)は、バーベキューソースでマリネした豚肉をグリルで焼いた料理です。
セントルイスを本拠地とする主なスポーツチーム
プロ野球
- セントルイス・カージナルス(St. Louis Cardinals):メジャーリーグベースボール(MLB)に所属。
プロアメリカンフットボール
- セントルイス・バトルホークス(St. Louis BattleHawks):XFL(エクストリーム・フットボール・リーグ)に所属。
プロサッカー
- セントルイス・シティSC(St. Louis City SC):メジャーリーグサッカー(MLS)に2023年から参加予定。
プロホッケー
- セントルイス・ブルース(St. Louis Blues):ナショナルホッケーリーグ(NHL)に所属。
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安全なセントルイス滞在のために治安情報をチェックしよう!
この記事では、セントルイスの治安状況について詳しく解説しました。
観光地としても有名なセントルイスですが、治安が良いエリアと悪いエリアが存在することを理解することが重要です。
特に観光やビジネスで訪れる際には、事前に治安情報をチェックし、適切な対策を講じることが求められます。また、地域コミュニティと警察が連携して治安改善に努めている点も注目すべきです。
この記事を参考に、セントルイスでの安全な滞在を計画してください。治安に関する最新情報や対策は、時々変わることがありますので、定期的に情報を更新し、安全な旅行や生活を楽しんでください。